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2017.09.21

インドインド【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第23回『インド 新統合版FDIポリシーの公表』
【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第23回
このたび、森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループでは、東南・南アジア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター、MHM Asian Legal Insights第76号(2017年9月号)を作成いたしました。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務展開の一助となれば幸いに存じます。


◇ 新統合版FDIポリシーの公表
 
インド政府商工省産業政策促進局(Department of Industry Policy and Promotion, Ministry of Commerce & Industry)は、2017年8月28日、最新の統合版FDIポリシー(Consolidated FDI Policy)(「新FDIポリシー」)を公表し、これが即日発効しました。統合版FDIポリシーは、公表時点におけるインドの外国直接投資規制全般をまとめたものです。
新FDIポリシーの直前の統合版FDIポリシー(「旧FDIポリシー」)は、2016年6月7日に公表されて即日発効していましたが、この旧FDIポリシーから新FDIポリシーまでの間は、プレスノートと呼ばれる産業政策促進局が公表する個別の通達により、随時改正点が公表されてきました。新FDIポリシーは、これらのプレスノートの内容を反映したものであり、かつこれらのプレスノートに優先するものとされています。
新FDIポリシーにおける旧FDIポリシーからの重要な変更点は、以下のとおりです。
 
  • 旧FDIポリシーでは、外国企業による直接投資が行われた有限責任事業組合(Limited Liability Partnership)と会社との組織変更については何ら規定が存在していませんでしたが、新FDIポリシーでは、インド準備銀行(Reserve Bank of India)に対する事後的な報告のみで足りる自動ルートを通じた100%の外国直接投資が許容されている分野又は外国直接投資に関連する条件(FDI linked performance conditions)が存在しない分野においては、自動ルートの下、有限責任事業組合と会社との組織変更が相互に認められることとなりました。なお、外国直接投資に関連する条件とは、外国投資を受ける会社の事業分野に関連する特定の条件のことをいうものと新FDIポリシーで新たに定義されました。
  • 旧FDIポリシーでは、卸売業/Cash & Carry型卸売業を営む会社は、小売業のうち単一ブランド小売業のみを、単一ブランド小売業に課された外資規制の範囲内で行うことができるものとされていました。これに対し、新FDIポリシーでは、卸売業/Cash & Carry型卸売業を営む会社は、小売業のうち単一ブランド小売業のみならず、複数ブランド小売業についても、複数ブランド小売業に課された外資規制の範囲内で行うことが認められるようになりました。
 
  • 旧FDIポリシーでは、単一ブランド小売業を営む会社に対して51%を超える外国直接投資を行う場合には調達額の総額の30%はインド国内から調達しなければならないとされていましたが(国内調達基準)、新FDIポリシーは、2016年6月24日に公表されたプレスノートの内容を取り込み、事業開始から3年間は上記の国内調達基準を適用しないこととしました。
 
  • 旧FDIポリシーでは、既存製薬業への外国直接投資は、政府による事前の承認が必要な政府ルートを通じてしか認められていませんでしたが、新FDIポリシーは、2016年6月24日に公表されたプレスノートの内容を取り込み、74%を超える場合には政府ルートを通じた外国直接投資しか認められないものの、74%までは自動ルートでの外国直接投資を認めることとしました。
 
  • 旧FDIポリシーでは、放送キャリッジサービス業又はケーブルネットワーク業を営む会社に対しては、49%までは自動ルートでの外国直接投資が認められていたものの、49%を超える場合には政府ルートを通じた外国直接投資しか認められていませんでした。これに対し、新FDIポリシーは、2016年6月24日に公表されたプレスノートの内容を取り込み、100%までの自動ルートでの外国直接投資を認めることとしました。
 
上記のとおり、新FDIポリシーでは、外国直接投資規制の緩和が行われており、インドに対する外国直接投資をより行いやすい方向に進んでいるものと評価できようかと思われます。
次回の統合版FDIポリシーが公表されるまでの間においても、外国直接投資規制の改正がなされた場合には、その都度プレスノートによって改正内容が公表されることとなりますので、引き続き外資規制の動向を注視していく必要があります。

【掲載元情報】
森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ  作成

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