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2017.07.21

タイタイ森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第20回『タイ 外国人事業法における外資規制の適用除外業務を拡大する商務省告示の施行(駐在員事務所の除外等)
【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第21回
このたび、森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループでは、東南・南アジア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター、MHM Asian Legal Insights74号(20177月号)を作成いたしました。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務展開の一助となれば幸いに存じます。
 
◇外国人事業法における外資規制の適用除外業務を拡大する商務省告示の施行
 (駐在員事務所の除外等)

 
タイでは、外国人事業法により、外国人(外国法人がその株式の50%以上を保有する法人を含みます。)が一定の規制業種を行うには原則として規制当局の許可が必要とされています。この規制業種の一つとして「その他サービス業」というキャッチオール項目があり、多くのサービス関連業がこの項目により規制の対象とされていますが、他方で、「省令で定める業種」については規制の対象から外されており、2013年3月及び2016年2月にはこの点に関する省令が公布・施行され、以下の業種が規制対象から除外されていました。
 
  • 証券取引法に基づく証券業務
  • デリバティブ法に基づくデリバティブ業務
  • 資本市場取引信託法に基づく受託業務
  • 銀行業及び外国銀行の駐在員事務所
  • 生命保険業
  • 損害保険業
 
この度2017年6月に新たな商務省告示が施行され、上記の例外業種に加えて、以下の2グループの業種も例外業種として加えられました。
 
グループ①
  • 商業銀行業務に必要な一定の業務(金融機関代理業、不動産リース業、現金管理業、債権回収代理業等)
  • アセットマネジメント法に基づくアセットマネジメント業務
 
グループ②
  • 駐在員事務所(representative office)
  • 地域事務所(regional office)
  • 政府機関と契約を締結しサービス提供を行う業務
  • 国有企業と契約を締結しサービス提供を行う業務
 
この新たに加えられた例外業種のうち、グループ①については、外国人事業法における規制とは別に、個別の業法により外国人事業法と同等又はより厳格な外資規制が定められている場合があることに留意を要します。しかし、その場合でも、外国人事業許可の取得の手間に加え、外国人事業許可の取得・保有要件として規定されている「対象会社の資本と負債の比率が1:7以内でなければならない」という制約から解放されたことになります。
また、グループ②のうち、特に日系企業にとって関心が高いのは、「駐在員事務所(representative office)」が加えられたことと思われます。駐在員事務所は海外本社への現地情報・支援提供を主な機能とするもので、下記に記載する活動を行うことができます。
 
  • 本社がタイ現地から商品やサービスを購入する調達先候補の調査
  • 本社がタイ現地から調達する商品の性能・分量のチェック及びコントロール
  • 本社がタイ現地の卸売業者・消費者に販売する商品に関する様々なアドバイスの提供
  • 本社の新商品・サービス情報の普及活動
  • 本社へのタイの市況に関する情報の報告
 
外国人事業許可の申請・取得には通常数ヶ月の時間を要しますが、今回の告示により、迅速かつ簡便に駐在員事務所を設立することが可能になったと考えられます。駐在員事務所は収益を上げることができない等の制約はありますが、タイへの進出を検討するに当たって現地の最新の市場情報等を収集したり、タイからの円滑な調達を行う等、日系企業においてもその活用範囲は広いものとなります。
なお、駐在員事務所の設立に当たっては法人登録番号の取得等のため一定の届出は必要とされています。

【掲載元情報】
森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ  制作

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