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2017.02.24

その他のアジア【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第16回『ミャンマー 新投資法における規制業種リスト(ネガティブリスト)のドラフト公表』
【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第16回
本レポートは、東南・南アジア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター「MHM Asian Legal Insights 第68号(2017年2月号)」より、その内容の一部を転載しています。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務展開の一助となれば幸いに存じます。

◇ ミャンマー 新投資法における規制業種リスト(ネガティブリスト)のドラフト公表
 
ミャンマー計画財務省・投資企業管理局(「DICA」)は、2017年2月2日に、新投資法に基づく投資規制の対象となる制限業種(restricted investment)を規定するNotificationのドラフト(「本ドラフト」)を公表しました。
 
(1) 新投資法の建付け
 
新投資法においては、制限業種として、①連邦政府のみが実施可能な業種、②外資による実施が禁止される業種、③ミャンマー内資会社との合弁でのみ実施可能な業種、及び④関係当局による承認が必要な業種、の4類型が定められています。これらの各類型に含まれる具体的な対象業種については、別途Notificationにおいて定めることとされていました。
 
(2) 本ドラフトに定める制限業種リストの位置付
 
投資法規則の規定及びDICAの説明によれば、本ドラフトに定める制限業種のリストは、そこに記載の無い限り原則として投資規制の対象とならない、いわゆる「ネガティブリスト」を意図したものです。したがって、本ドラフトに定める制限業種として記載が無い限り、特段の外資規制を受けることなく実施が可能と考えられます。なお、国家にとって戦略的に重要な事業や一定規模以上の資本集約的な事業等については、ミャンマー投資委員会の投資許可(MIC許可)を受けるという規制は別途ありますが、その場合でも外資規制を理由にした制限は課されない見込みです。
 
(3) 主な変更点
 
本ドラフトに基づく外資に対する投資規制の内容として、従来の旧外国投資法下における規制からの主たる変更点は以下のとおりです。
 
① 制限業種の数
本ドラフトにおける制限業種の数は190を超えています。旧外国投資法下におけるNotificationでは約100であったことを踏まえると倍近い数になっています。しかし、これは外資規制が強化されたということではなく、ネガティブリストを作成したことにより、従来はNotificationの枠外で行われていた規制・指導が表面化したと考えるべきです。実態としては以下に述べるように大幅な外資規制の緩和が意図されています。
 
② Trading事業への外資参入規制について
従前、小売及び卸売を含む商業(いわゆるTrading事業)への外資参入は、明文の根拠はないものの、事実上禁じられてきました。
本ドラフト上、外資によるTrading事業への参入が一定の要件の下で認められることが明記されました。本ドラフトに定める小売及び卸売事業への外資参入に関する規制の概要は下表のとおりです。
 
事業 規制
小売(retail) ミニマーケット(mini market)及びコンビニエンスストア(convenience store)*1 外資による実施禁止*2
店舗面積が10,000平方フィート(約929平方メートル)を超える小売事業(retail trading) ミャンマー内資会社との合弁形態により外資参入が可能
卸売(wholesale) 規制なし
 
*1:「ミニマーケット」及び「コンビニエンスストア」の定義は、本ドラフト上明記されていません。これらの具体的内容は、今後明確化されることが期待されます。
*2 :「外資による実施が禁止」される業種であっても新会社法の施行後は一定割合(35%が想定)までは外資による投資が可能です。
 
③ 不動産事業への外資参入規制について
従前の旧外国投資法の下で、住宅の建設、販売及び賃貸並びにオフィス及び商業施設の建設及び販売については、ミャンマー内資企業との合弁でのみ外資が実施可能とされていました。本ドラフトでは、不動産事業に関し、住居用建物及びコンドミニアム(residential buildings and condominiums)の開発及び賃貸のみ、ミャンマー内資企業との合弁が必要な業種として規定されています。本ドラフトがネガティブリストとして制定されることからすると、住居用建物及びコンドミニアム以外の不動産開発、例えばショッピングモールやホテル、オフィス等の開発については、外資による実施に関しても特段の規制を受けないことになるものと思われます。
 
(4) 今後の見通し
 
本ドラフトに関しては、公表後2月10日まで行われたパブリックコメント手続の結果を踏まえ、2017年3月末までの制定を目指して議論が進められる予定です。新投資法の下での投資規制を理解するためにはネガティブリストだけでなく、3次にわたってドラフトが公開された投資法規則(Investment Rule)や新会社法を統一的に理解する必要があります。これまで公開されたドラフトを総合的に検討すると、外資規制・輸出入規制について想像以上の規制緩和が行われる見込みです。弊事務所は今後も引き続きその動向を注視していくとともに、タイムリーな情報提供を行ってまいります。また、3月には新投資法における外資規制を解説するセミナーを東京で開催します。ヤンゴン・シンガポール等でも順次同様のセミナーを開催する予定です。

以上


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【掲載元情報】
森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ  作成

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