2017.01.30
- その他のアジア【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第15回『ベトナム 投資法の改正』
- 【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第15回
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本レポートは、東南・南アジア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター「MHM Asian Legal Insights第67号(2017年1月号)」より、その内容の一部を転載しています。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務展開の一助になれば幸いに存じます。
◇ベトナム 投資法の改正
(1) 総論
本レター第65号(2016年11月号)でご紹介したとおり、ベトナムでは、2015年7月に施行された投資法や企業法等の一部の改正が検討されていましたが、この度、投資法の一部を改正する法律(「本改正法」)が2016年11月末に公布され、投資禁止分野及び条件付投資分野の範囲が変更されました。本レターでは、これらの具体的な内容について紹介します。
(2) 本改正法の内容
① 投資禁止分野の追加
現行の投資法上、投資禁止分野としては、例えば、麻薬に関する業種や、売春、人身等の売買に関する業種が挙げられていますが、本改正法では、新たに「爆竹の販売」が追加されました。
② 条件付投資分野の削減
現行の投資法上、条件付投資分野とは、国防、国家の治安、社会の秩序、安全、社会道徳、市民の健康を理由として、当該分野について経営投資活動を実施するには一定の条件を満たさなければならない分野をいい、それに該当する具体的な事業分野として、同法別表4に267の事業分野が列挙されています。この点に関し、本改正法では、当該事業分野のリストが改定され、条件付投資分野が267分野から243分野に削減されました。例えば、投資プロジェクト評価コンサルタント業、美容外科手術サービス業、臨床試薬サービス業、排水サービス事業等はリストから削減されています。
なお、ドラフト段階では、合計で60以上の事業分野の削除が検討されていましたが、国会での審議の過程で削減数が減少され、自動車の保証・整備サービス業、不動産仲介・不動産鑑定・職業訓練サービス業、土地調査・評価コンサルタントサービス業等は上記リストから削除されませんでした。
③ 条件付投資分野の追加
本改正法では、上記②のとおり、一部の事業が条件付投資分野から外れる一方で、自動車の生産・組み立て・輸入、留学コンサルティングサービス事業、録音・録画・測位のための機器、カモフラージュソフトウエアの販売等の21分野が新たに上記リストに追加され、条件付投資分野とされました。
④ M&A登録手続に関する改正案
本レター第65号(2016年11月号)にてご紹介したとおり、本改正法のドラフト段階ではM&A登録手続に関する改正案も含まれていました。しかしながら、最終的に成立した本改正法では、この改正は見送られることとなりました。
(3) 施行日
本改正法は、2017年1月1日に施行されていますが、上記(2)③で新たに条件付投資分野のリストに追加された分野のうち、「自動車の生産、組み立て、輸入」及び「録音・録画・測位のための機器、カモフラージュソフトウエアの販売」については、2017年7月1日からの施行とされています。
以上のとおり、本改正法は、ドラフト段階に比べるとその改正の範囲が縮小されてはいますが、特に条件付投資分野に新たに追加された事業についての当局の審査対応等、実務運用も含め今後の動向に留意が必要です。
以上
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- 森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ 作成