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2016.09.21

その他のアジア【イスラム】Hopewill《THE MENASA/イスラム市場通信》第25回「中東の高等教育事情に迫る!」
【イスラム】Hopewill《THE MENASA/イスラム市場通信》第25回
中東の高等教育事情に迫る!

高等教育への進学率を伸ばして学術力・技術力を伸ばすことは、長期的に国の経済成長を促す要因となる。先進各国だけでなく、近年経済成長を遂げている国においては特に高等教育政策を重視している。日本でも安倍総理が、「成長戦略第2弾スピーチ」の中で、日本の大学改革を推し進め、今後10年で世界大学ランキングトップ100に10校ランクインを目指したいと述べている。そこで今回は、サウジアラビアの高等教育への進学状況からその背景を探り、アラブ首長国連邦にあるユニークな大学とその理念に迫る。

【日本その他各国の大学進学率】

OECDによる大学進学率に関する国際比較調査(2012年)では、OECD各国平均が62%なのに対し日本は51%と平均を下回っている。トップはオーストラリアの96%、続いてアイスランド・ポルトガル・ポーランドのヨーロッパ勢が続き、9位にアメリカとなっている。アメリカの進学率は74%で、オバマ政権は「2020年までに大学卒業者比率を世界一に」と宣言している。同じアジアで一番高い進学率の71%を誇る韓国は世界10位。韓国は1990年から2000年の間で大学進学者数を1.7倍に伸ばしている。マレーシアは10次マレーシア計画(2011-2015)等で、高付加価値の知的産業の育成と世界トップレベル大学の育成等を掲げている。高いGDP成長率を誇り進学率46%のタイは、第10次経済社会開発計画等で、人口一万人あたりのR&D人口を10人に増加や、大学の基盤整備等を掲げている。

【女性の大学進学率が高いサウジアラビア】

サウジアラビアの大学進学率(短期大学を含む)を見てみると、50.9%と決して低くない。またサウジアラビアの大学進学の特徴として、男性の進学率が49.4%で、女性の進学率は52.5%と、男性より女性のほうが大学進学率が高い。
サウジアラビアにおいて女性教育が開始されたのは1960年代である。当初は保守的な人々の間から反発の声も上がったが、「イスラムの教えに反しない範囲」で行われることを条件に許容されてきた。そして現在、社会の急速な変化に伴い、女性教育や就労に関する宗教的な制限が時代にそぐわない状況になりつつある。サウジアラビアでは最近まで女性の就労機会が極めて限定的だった為、労働参加率が5~8%に抑制されてきたサウジアラビアの女性にとって、進路先として就労が現実的な選択肢にはならず、自ずと大学進学へと導かれてきた。国立大学は授業料無料の上、毎月給付金を受け取ることもできる。その結果、今日の女性の雇用機会の創出へと繋がっているのだ。

男性・女性問わず高い進学率を維持してきた裏には、政府による多額の資金の投入がある。サウジアラビア財務省によると2014年には教育予算が歳出のおよそ25%にあたり、2008年と比較すると2倍となっている。無償の教育投資拡大は政府の財政を圧迫している。同国の名目GDPは急速に成長しているが、同時に財政支出も同時に増加しており、教育投資のあり方については大きな課題である。

【アラブ首長国連邦にあるユニークな大学】

世界大学学術ランキングで上位に名を連ねる大学は、そのほとんどがアメリカ、イギリスにある大学である。どの有名大学も優秀な学生を確保するために独自の奨学金制度を設けている。しかし、奨学金制度という一言では片づけられない程の充実した経済支援策を設けたユニークな大学がアラブ首長国連邦(UAE)に出現している。同ランキング27位で全米屈指のレベルを誇る名門私立大学、「ニューヨーク大学」が2010年にアブダビに設立した「ニューヨーク大学アブダビ校」である。

世界のトップ大学、特にハーバード大学やイエール大学、プリンストン大学の授業料はかなり高額である。年間の授業料だけでも600万円近くかかり、かつ生活費となると一般家庭では難しい。そこで「ニューヨーク大学アブダビ校」では、優秀な学生に対して授業料のみならず生活のほぼ全てをカバーする支援を施す。アブダビ政府の全額支援を受けて、ほとんどの学生に対して4年間の生活費・授業料・本国へ年に2回帰国するための渡航費を支給している。それに加え、4年間に2度、1学期間ニューヨーク大学の世界中のキャンパスで学ぶことができるシステムがある。このシステムにかかる費用も政府と学校が全額負担する。
このような類を見ないレベルの経済的支援をしていることから、様々なバックグラウンドを持った優秀な学生を集めることができ、多様性豊かで刺激のある学生交流の場が広がっている。

※本レポートは、Hopewill Group (Holdings)Ltdのメールマガジン「イスラム&MENASA市場」より一部修正のうえ、転載しています。
※ 本内容につきまして、無断複写・複製を禁止いたします。
※「THE MENASA/イスラム市場通信」の過去記事は 「国別情報一覧」 よりご確認ください。


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「THE MENASA/イスラム市場通信」は、今後ますます注目を集める地域のME(Middle East) 、NA(North Africa)、SA(South Asia) 市場およびイスラム市場について、様々な観点から情報を発信してまいります。
本レポートを通して、少しでもこの「MENASA」「イスラム」というキーワードが皆様にとって身近なものとなりましたら幸いです。

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【掲載元情報】
Hopewill Group Japan株式会社《Hopewill Group (Holdings)Ltd.グループ企業》  監修

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