2016.08.26
- その他のアジア【イスラム】Hopewill《THE MENASA/イスラム市場通信》第22回「イスラム圏から日本に観光客を誘致する秘訣!」
- 【イスラム】Hopewill《THE MENASA/イスラム市場通信》第22回
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イスラム圏から日本に観光客を誘致する秘訣!
2020年の東京オリンピックが正式に決まり、今後ますます増加が期待される訪日観光客。中でもイスラム圏からの観光客の増加が顕著であり、引き続き更なる増加が見込まれている。ムスリム観光客を十分に受け入れるためには、様々な整備が必要であることはいうまでもない。今回は、ムスリム観光客を含めた訪日観光客の現状、より多くのムスリム観光客を誘致する為の基本的な留意点についてお伝えする。
【訪日観光客をとりまく現状】
日本における訪日外国人観光客数は年々増加しており、日本政府観光局(JNTO)によると、2015年時点での、総訪日外国人観光客数は約2千万人に達する勢いだ。入国外国人の国籍・地域を見てみると、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アフリカ、南アメリカ、オセアニアに分かれる地域の中で圧倒的にアジアが多く、同年のアジア地域からの訪日数は約1665万人に上り、前年比53.9%の伸率を示している。
アジア地域の中でも、中国、韓国を除いた、イスラム圏からの観光客の増加が顕著だ。例えば、イスラム教徒が全宗教に占める割合が61%の国であるマレーシアからは約30万人、また人口の88.1%がイスラム教徒であるインドネシアからは約20万人と、いずれも高い伸び率を示している。
依然として日本の主要訪日観光客は、中国、台湾そして韓国からの観光客であるが、今後ますます成長が見込まれるのはイスラム圏からの観光客である。高い経済成長率と人口増加をみせるイスラム圏における市場は、2030年までには1000兆円規模に成長すると予想されている。観光立国の実現を目指す日本にとって、この巨大な成長市場をいかに取り入れるかが重要である事は言うまでもない。その為には、国内におけるイスラムの文化的受容力を整備し、ムスリム観光客のニーズにあった「おもてなし」を整えることが必要であろう。
【カギを握るハラール】
イスラム法において、「合法である」、「許可された」という意味の「ハラール」という概念は、様々な営みに適応され、食事内容から身だしなみ、遺産相続、そして金融などにも適用される。またこの反対を意味する概念として、「ハラーム」があり、これは「不法である」、「禁止された」という意味を持つ。これらに注意することがムスリムに対する最低限の配慮である。食事に関して特に注意を要する点は、豚及び豚由来の成分、アルコール成分、また血液であり、「ハラール認証」された食事を提供することが重要となってくる。しかしこの「ハラール認証」には国際基準がなく、国によってその基準が不統一であるため、ある機関から「ハラール認証」を受けたとしても各国に合わせた補助的な基準が必要である。
日本国内でも昨今、イスラム教徒の観光客増加に伴い空港やアウトレットモールなどで「ハラール認証」を受けたレストランが点在しているのが見られるが、その数はまだまだ十分ではないといえる。2014年において、日本国内でハラール認証を受けたレストラン数は、56店舗にとどまっている。
【食事以外の配慮】
「ハラール」への対応に加え重要になってくることが、ムスリムのお祈りに対する配慮だろう。ムスリムにとって毎日5回の礼拝は欠かすことのできないものであり、聖地メッカの方角に向かって決まった時刻に行われる。礼拝の前に体を清めるための手洗い場や、メッカの方角を示す表記、また礼拝に必要なマットやついたてなど備品の準備も必要であろう。成田空港やJR大阪駅には既にそのような礼拝所を設けられている。2020年の東京オリンピックまでには更にその数を増やし、ムスリムの受入環境を充実させることが今後イスラム圏からの観光客を呼び込む鍵となるであろう。
※本レポートは、Hopewill Group (Holdings)Ltdのメールマガジン「イスラム&MENASA市場」より一部修正のうえ、転載しています。
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本レポートを通して、少しでもこの「MENASA」「イスラム」というキーワードが皆様にとって身近なものとなりましたら幸いです。
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