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2016.08.09

その他のアジア【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第12回 『インドネシア OTTサービスに関する新規則案』
【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第12回
本レポートは、東南・南アジア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター「MHM Asian Legal Insights 第60号(2016年7月号)」より、その内容の一部を転載しています。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務展開の一助となれば幸いに存じます。

◇ インドネシア: OTTサービスに関する新規則案

2016年3月31日、インドネシアの通信情報省は、インターネット回線を通じてメッセージや音声、動画コンテンツを提供するサービス、いわゆるOver-the-top service(OTTサービス)に関して、新たな規則を制定する旨の通達(Circular Letter)を出しました。
そして、同通達を受け、4月29日には、OTTサービスに関する新規則案を公表し、5月26日までパブリック・コメントに付されていました。
現時点では、新規則は未成立であるため、今後内容が変わる可能性はありますが、新規則案の内容は概ね以下のとおりです。

(1) OTTサービスの範囲

新規則案によれば、「OTTサービス」とは、①テキストメッセージ、音声電話、オンラインチャット、金融・商業取引、データストレージ、データ検索、ゲーム、SNS及びこれらの派生物の形式でのインターネット回線を通じた通信サービスの利用(アプリ)、並びに、②インターネット回線を通じてストリーミング又はダウンロードされた、テキスト、音、画像、アニメーション、音楽、ビデオ、ムービー、ゲームを含むデジタル情報又はこれらのデジタル情報の組合せの提供(コンテンツ)をいうものとされ、規制対象となるOTTサービスが広範に定義されています。

(2) 外国事業者に対するPE設置義務

OTTサービスを提供できる主体は、①インドネシア人、②インドネシア法人(外国資本企業を含む)又は③外国のOTTサービス事業者(①から③を総称して「OTTサービス提供者」)とされています。
新規則案によれば、外国のOTTサービス事業者は、インドネシア国内に所得税法に従って「恒久的施設」(Permanent Establishment)を設ける必要があり、インドネシアでの納税義務が生じることが予定されています。
そのため、インドネシアに拠点を設けずに、インドネシア国内の利用者に対してコンテンツ等を配信している外国のOTTサービス事業者は、新規則案が成立した場合には、PEを設置して、インドネシアにおいて納税を行うことが必要となる可能性があります。

(3) BRITへの登録義務

新規則案では、OTTサービス提供者は、インドネシアで事業を開始する30日前までに、電気通信規制機関(BRTI)に登録しなければなならないとされています。登録の際にBRTIに提出する申請書類は、OTTサービス提供者の種類によって異なります。
外国のOTTサービス事業者の場合、(a)PEとしての指名書(Letter of Appointment)、(b)居住証明書(Certificate of Domicile)、(c)納税者登録番号(Tax Payer Registration Number)を申請書類として提出する必要があるものとされています。

(4) OTTサービス提供者の義務

新規則案によれば、OTTサービス提供者には、事業者として様々な義務が課されることとなります。例えば、①競争、取引、消費者保護、知的財産、広告、税、運送・物流、保健・衛生に関する関連法令・規制の遵守、②個人情報保護・プライバシー保護に関する法令の遵守、③コンテンツに対するフィルタリング及び検閲の実施、④インドネシアの決済サービスの利用、⑤インドネシアのIP番号の利用、インドネシアに所在するデータセンターへの一部のサーバー基盤の設置、⑥合法的な傍受へのアクセス提供、犯罪捜査のための証拠収集の許可、⑦サービス規約等についてのインドネシア語の表示等が定められています。

上記のとおり、新規則案では、OTTサービスの範囲も広く、外国のOTTサービス事業者に対して、インドネシアでのPE設置義務を課している点等で影響の大きい規制となりうるため、今後の動向を注視する必要があります。
 
以上


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「森・濱田松本法律事務所 アジアニュース」の過去記事は 《国別情報一覧》その他のアジア よりご確認ください。
 
【掲載元情報】
森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ  作成

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