2016.08.04
中国【中国】陳弁護士の法律事件簿㉕ 「中国における『集会』の開催について」
- 【中国】陳弁護士の法律事件簿㉕
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中国における「集会」の開催について
2016年4月21日、国際的な法曹専門雑誌「Asian Legal Business」(以下「ALB」という)が主催する、「ALB中国法律大賞」の授賞式が、北京柏悦ホテルで行われる予定であったが、授賞式の途中で「公共の安全に対する配慮から、やむを得ず授賞式が中止される」ことが告げられた。
授賞式は「不法集会」であると告発を受けたため、法に従い中止が決定されたと報道された。
『分析』
「不法集会」の具体的な内容については、法規では特に定義されていない。
中国では、公民による集会、デモ、示威の権利行使を保障し、公の秩序と社会の安定を維持するために、80年代と90年代に『中華人民共和国集会デモ示威法』(以下『集会デモ示威法』)及びその実施条例が制定された。
『集会デモ示威法』及びその実施条例によると、「屋外の公共の場に集まり、意見を発表し、願望を表明する」という集会活動において、事前に申請する必要がないものは、「国が行う活動、又は、国の決定に基づき行われる慶祝、記念などの活動、及び国家機関、政党、社会団体、企業、事業体が法律や組織定款に照らして行う集会活動」のみに限られている。
それ以外に屋外の公共の場で集会を行う場合は、法に従い主管機関(公安機関)に申請を行い、許可を取得し、かつ許可された通りの目的、方法、時間、場所で行わなければならない。とされている。
そして、公共に危害を及ぼさず、社会秩序を著しく害する状況がない場合にのみ、合法的な集会と認められる。
集会は、「屋外の公共の場で行う」及び「意見を発表し、願望を表明する」ものと定義されており、当局の許可を取得した後に開催することができる。
室内で行われる各種の集まり、例えば同級生、友人、同業者間で行われる同窓会、詩の同好会、車の同好会、同郷会、業界会議などは、『集会デモ示威法』の規制対象に属さない。娯楽・スポーツ活動、正常な宗教活動、また、伝統的な民俗活動は、仮に屋外の公共の場で行われるとしても、『集会デモ示威法』及びその実施条例は適用されず、集会と呼ばれない。(当然、各レベルの人民政府又は主管部門が関連の法律、規定などに照らして制定する専門的な管理条例は除外する。(例えば文芸公演を行う場合は、文化部門の審査許可が必要であるなど)。
2007年に公布・施行された『大型群衆活動安全管理条例』の規定によると、社会大衆に向けて行われる、毎回参加者が1000人以上に達する見通しであるスポーツ試合、文芸公演、展示展覧会、遊園会、提灯祭り、花火大会、求人活動などの大型の大衆的な活動は、室内・屋外を問わず、事前に安全許可申請を行うべきであり、許可を取得した後にそれを開催することができる。とされている。
従って、中国における集会は事前に許可を取得する必要がある。それ以外の活動は、主管部門又は各地の政府部門の特別な規定の有無を確認すべきである。1000人以上を超える場合は安全許可についても取得する必要がある。
以上
※「陳先生の法律事件簿」の過去記事は、 「国別情報一覧」 よりご確認ください。
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- 【掲載元情報】
- GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
- [略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員