国別情報一覧

HOME > 国別情報一覧 > 中国 > 詳細

国別情報一覧

2016.07.26

中国中国【中国】陳弁護士の法律事件簿㉔ 「増値税発票の『使用期限』について」
【中国】陳弁護士の法律事件簿㉔
増値税発票の「使用期限」について

B社はA社に商品を注文。A社は商品を準備の上、増値税専用領収書(以下、増値税発票)を発行した後、商品貨物を出荷しようとしたが、B社は出荷時期の延期を要求した。

B社の都合により商品貨物は、未発送の状態で増値税発票が発行されてから6ヶ月が超過した。
結果、税務当局から「当該増値税については、仕入税額を売上税額から控除できない(A社が商品の仕入時に支払った増値税について、B社からの売上代金にかかる増値税から控除できない。)と通告された。

『分析』

増値税に関わる仕入税額の控除申告期限は、2010年1月1日以降に発行された増値税発票の場合、180日となる。
180日以内に税務当局の認証を受け、仕入税額控除の申告手続きが行われなかった場合、発行された増値税発票は、原則、合法的な証憑とは認められず、仕入税額の控除を行うことができない。
ただし、2011年に公布された『国家税務総局による期限切れの「増値税仕入税額控除証憑」に関する控除問題の公告』では、「増値税仕入税額控除証憑」の期限切れが発生した場合の手続きと、仕入税額控除が認められる可能性のあるケースを明らかにしている。

すなわち、増値税一般納税者において、正当な商取引が発生し、「増値税仕入税額控除証憑」の期限切れが起きた場合、主管の税務当局がそれを審査し、上級機関へ報告、国家税務総局が増値税仕入税額控除条件を満たすと判断して、はじめて当該期限切れの「増値税仕入税額控除証憑」を使用することができる。

期限切れの「増値税仕入税額控除証憑」の使用が認められる可能性がある、客観的な期限切れの原因として、以下の五つのケースがあげられている。

(一)自然災害、突発的な社会的事件等の不可抗力

(二)「増値税仕入税額控除証憑」の盗難、強奪、又は、郵便事故による紛失等

(三)司法、行政関連機関が、業務処理、又は、検査等において「増値税仕入税額控除証憑」を差し押さえ、納税者が正常な申告義務を履行することが出来ない場合。又は、税務当局の情報システムの故障により納税者が認証データを処理することができない場合

(四)取引双方間の金銭的紛争により、「増値税仕入税額控除証憑」が適時に交付されない場合。又は、納税者が納税地を変更し、旧納税地の取消及び新たな税務登記手続き等に時間がかかる場合

(五)企業の税務担当者の死傷、不意の重病、又は、突然の辞職等により、業務の引継ぎが出来ない場合


納税義務者となる企業は、増値税発票の「使用期限」には十分注意すべきである。



以上


※「陳先生の法律事件簿」の過去記事は、 「国別情報一覧」 よりご確認ください。


【本レポート、メールマガジン「陳弁護士の法律事件簿」配信希望などに関するお問い合わせ】
 GPパートナーズ法律事務所 (japanese_group@gaopenglaw.com)まで
 会社名(屋号)、担当者様お名前、電話番号、メールアドレスに、問い合わせ内容を添えてメール願います。

【掲載元情報】
GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
[略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員

前のページへ戻る

  • セミナー&商談会のご案内
  • アジアUPDATE
  • 国別情報一覧

PAGETOP