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2016.05.02

その他のアジア【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第9回 『ベトナム:駐在員事務所・支店の設立手続の簡素化』
【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第9回
本レポートは、東南・南アジア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター「MHM Asian Legal Insights 第55号(2016年4月号)」より、その内容の一部を転載しています。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務展開の一助となれば幸いに存じます。


ベトナム:駐在員事務所・支店の設立手続の簡素化

2016年1月25日、外国企業のベトナムにおける駐在員事務所・支店に関するDecree No.07/2016/ND-CP(「本Decree」)が公布されました。
本Decreeにより、従前(Decree No.72/2006/ND-CP)と比べて、駐在員事務所・支店の設立手続が簡素化されましたので、今回は、本Decreeによる主な改正点についてご紹介します。
なお、本Decreeは、2016年3月10日より施行されています。


1 駐在員事務所・支店の設立許可証発給期間の短縮

本Decree施行以前は、外国企業が駐在員事務所・支店の設立の申請を行った場合、当該申請が受理された日から15日以内に設立許可証が発給されると規定されていました。
これに対し、本Decreeにおいては、申請の受理日から原則として7営業日以内に設立許可証が発給されることになりました。
また、本Decreeにおいては、申請書類に不備があった場合における審査機関による追加の書類提出要請は1回のみに限定されました。
これによって、外国企業が何度も申請書類の追加を行う手間が省かれることになります。


2 駐在員事務所・支店の設立時の公告掲載義務の撤廃

本Decree施行以前は、駐在員事務所・支店を設立する場合、設立許可証発給日より45日以内に、新聞紙上又は電子新聞において、事務所名・支店名、住所、活動内容等の情報を含む設立に関する公告を3日連続で掲載する必要がありました。
これに対し、本Decreeでは、この規定が削除されたため、今後、駐在員事務所・支店の設立に際し、公告を行う必要はなくなりました。


3 駐在員事務所の活動開始報告義務の撤廃

本Decree施行以前は、設立許可証発給日より45日以内に、許可証を発給した機関に対して、駐在員事務所が登録地において活動を開始したことを報告する必要がありました。
そして、当該報告に必要な書類(駐在員事務所活動通知、駐在員事務所長及び各従業員の労働契約書等)はすべてベトナム語で準備しなければならず、外国企業にとって一定の負担となっていました。
これに対し、本Decreeでは、これらの活動開始報告に関する規定が削除されたため、今後、駐在員事務所を設立する場合、活動開始報告を行う必要がなくなりました。


4 駐在員事務所に認められる活動内容が制約される可能性

本Decree施行以前は、駐在員事務所は、その活動内容として、連絡、市場調査等に加え、ベトナムの当事者と締結した契約又はベトナム市場に関連のある契約の履行のモニタリングや督促を行うことも可能でした。
これに対し、本Decreeでは、当該契約の履行のモニタリング・督促については、駐在員事務所の活動内容から削除されました。
したがって、本Decreeにおいて、駐在員事務所の活動範囲がこれまでよりも制約されることになる可能性があり、今後の当局の運用を注視する必要があると思われます。

ベトナム政府は、2015年7月から施行された新たな企業法及び投資法により、外資による現地法人設立手続を簡素化する等、外資の誘致に積極的な姿勢を示してきています。
本Decreeによる今回の改正は、基本的に、外資による駐在員事務所・支店の設立についても手続を簡素化することにより、この姿勢をより明確にしたものといえます。
他方、上記のとおり、駐在員事務所の活動範囲がこれまでよりも制約されることがないか、今後の当局の運用を注視する必要もあります。

以上

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【掲載元情報】
森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ  作成

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