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2016.04.21

中国中国【中国】陳弁護士の法律事件簿㉒ 「中国における企業間の金銭賃借契約は違法であるか?」
【中国】陳弁護士の法律事件簿㉒
中国における企業間の金銭賃借契約は違法であるか?


経営状態が良好なA社は、新しいプロジェクトを開始する計画があるものの資金不足のB 社に対し、500 万元を貸付けることに同意した。
双方は1ヶ月あたりの金利を1%、借入期間を20 日とした金銭消費貸借契約を締結した。
借入期間の満了後、A 社が何度も督促したにもかかわらずB社が返済に応じなかったため、A社はB 社を訴えた。そもそも中国において非金融機関間の金銭消費貸借契約が認められるか否かが、訴訟における論点の一つとなった。


『分析』

本件における、A 社とB 社の金銭消費貸借契約の効力について、異なる二つの意見がある。

一つの目の意見は、双方間の金銭消費貸借は無効であるというものである。

理由として、中国の法規では非金融機関間の金銭貸借行為を否定する方針があることがあげられる。

『最高人民法院の共同経営契約紛争案件の審理における若干問題に関する解答』第4 条第2 号、『企業間金銭消費貸借契約の借り手が期限超過後も返済しない場合の処理に関する最高人民法院の返答』、『銀行業監督管理法』(2006 改正) 第19 条等の文書では、非金融機関間の金銭貸借行為そのものを否定する方針をとっており、金銭消費貸借契約は無効と認定している。

もう一つの意見は、双方間の金銭消費貸借契約は有効であるというものである。

最高人民法院『民間貸借案件の審理における法律適用の若干問題に関する規定』(法釈2015)18 号第11 条では、《企業は生産・経営の必要に応じて相互に資金を融通する場合、司法による保護を受けるべきである》とある。

また、最高人民法院『民間貸借案件の審理における法律適用の若干問題に関する規定』(法釈2015)18 号第11 条では、《法人相互間、その他の組織相互間、及びこれらの者相互間において、生産・経営のために締結する必要がある民間の金銭消費貸借契約については、契約法第52 条、本規定第14 条で規定される状況が存在する場合を除き、当事者が民間金銭消費貸借契約の有効性を主張する場合、人民法院はそれを認めるべきである。》と規定している。
最高人民法院の院長の全国商事審判会議における発言でも《『商事審判において注意すべきいくつかの法律適用問題』では、金融業務の取扱資格を有しない企業が生産経営のために実施する一時的な資金融通行為については、資金を提供する当事者が資金の貸出しを主な業務とせず、国の金融規制に違反する状況に該当しない場合、金銭消費貸借契約を無効と認定するべきではない。》と指摘している。

本件においては、20日という短期の借入期間は生産・経営のための一時的な資金の融通に該当し、かつ資金を提供する当事者は資金の貸出しを主な業務としていない。
よって、金銭消費貸借契約は有効であり、B社はA社に対し利息も含めた借入金を返済すべきと考えられる。

以上


※「陳先生の法律事件簿」の過去記事は、 「国別情報一覧」 よりご確認ください。




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【掲載元情報】
GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
[略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員

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