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2016.02.17

その他のアジア【イスラム】Hopewill《THE MENASA/イスラム市場通信》第19回「東南アジアの非ムスリム国・フィリピンのハラル市場に向けた取り組みに迫る!-後編-」
【イスラム】Hopewill《THE MENASA/イスラム市場通信》第19回
特集・東南アジアの非ムスリム国・フィリピンのハラル市場に向けた取り組みに迫る!-後編-

今回の後編では、フィリピンにおけるハラル・ツーリズムの現状や取り組みを紹介する。

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フィリピンにおけるハラル・ツーリズムの現状
フィリピンは、東南アジアに位置する有数のリゾート地である。
インドネシアやマレーシア、ブルネイ等イスラム教を主流とする国が近接するにも関わらず、ムスリムをおもてなしするための食事や設備が十分に用意されていない。

ハラルに対応した食事を提供しているホテルは非常に少なく、マニラホテル(Manila Hotel)、マカティ・シャングリラ・マニラ (Makati Shangri-La Hotel)、リゾーツ・ワールド (Resorts World) 、ザ・ヘリテイジ・ホテル・マニラ (the Heritage Hotel) 等、主要なホテルのみである。
ハラル対応が可能なレストランもほんの一握りであり、フセインズ・カフェ (Hussein’s Cafe)、プリンス・オブ・ジャイプール (Prince of Jaipur) 、マニラ市キアポ地区にあるムスリム・コミュニティ内の小さなレストランのみとなっている。

フィリピンはクリスマスや旧正月を祝う祭事が多くあるが、ムスリム観光客を誘致する為のイベントは非常に少ない。
マレーシアやインドネシア、シンガポールは断食明けの祭りであるイド・アル・フィトル (The Eid UI-Fitr Festival) を開いて多くのムスリム観光客を呼び込んでいる。
観光業はフィリピン経済を支える重要な産業であるが、未だ巨大なイスラム市場を取り入れることができていない。

フィリピンには、ムスリムを誘客する為のイベントの開催が自国の観光業に大きな影響を与えることを理解し、隣接する東南アジア諸国に学び、早急にムスリム観光市場を視野にいれることが求められている。
フィリピンにおけるイド・アル・フィトル(The Eid UI-Fitr Festival) が1993年より首都マニラにて開催されている。
開催期間中は、フィリピンムスリムの文化や歴史・芸術を発信する好機として、文化紹介から工芸品、食べ物の販売・展示に至るまで、幅広くイベントを行っている。
多くの人が訪れることができるよう、会場はSMモール・オブ・アジア (SM)、グリーンベルト(Ayala Mall’s Greenbelt)、ロビンソン・ギャレリア (Robinson’s Galleria)、
シャングリラ・プラザ・マニラ (Shangri-La Plaza) といったショッピングモールとなっている。
一方で、政府はイド・アル・フィトルをムスリム観光客誘致の為の重要な観光資源として見ていないため、未だ国内ではマニラのみの開催となっている。
政府が祭りを支援し、国内全域での開催が可能となれば、より多くのムスリム観光客を呼び込むことができるだろう。


フィリピンのハラル・ツーリズムに向けた取り組み
フィリピンを訪れる観光客の7% はアラブやイスラム諸国からの旅行客であり、その数は348,970人に上る。
ムスリム旅行者からのハラル対応の食事や飲料の需要が高く、フィリピンはハラル対応のサービス体制の整備を急いでいる。

フィリピン政府観光省 (The Department of Tourism: DOT) は、2015年12月より2016年2月にかけて、フィリピンにおける50程のホテルとリゾート地を試験的にハラル対応の観光地とする計画を行っており、今回、選定されたセブ島の10のホテルとリゾート地が発表された。

セブ島より選ばれたホテル・リゾート地は、マリアゴ・ブルーウォーター・ビーチリゾート (Maribago Bluewater Beach Resort)、セブシティ・マリオットホテル(Cebu City Marriott Hotel)、セブ・パークレーン・ホテル (Cebu Parklane Hotel)、コスタベリャ・トロピカル・ビーチホテル (Costaella Tropical Beach Hotel)、クリムゾン・リゾート&スパ (Crimson Resort and Spa)、マルコポーロ・ホテル (Marco Polo Hotel)、モーベンピック・ホテル (Movenpick)、ラディソンブルー・セブ ( Radisson Blu Cebu)、シャングリラ・マクタン・リゾート&スパ(Shangri-la Mactan Resort and Spa)、ウォーターフロント・セブシティ・ホテル&カジノ (Waterfront Cebu Hotel and Casino) である。

この他、首都マニラより20、ボラカイ島より10、ダバオ市より10のホテル・リゾート地が今後選ばれる。
計画に先立って国家ムスリム委員会 (the National Commission on Muslim Filipinos: NCMF) が設立され、委員会を中心に今回の計画における指針が策定される予定だ。

今回選ばれたホテル・リゾート地には、ハラルに対応するための建物や設備の増設・整備、ハラル認証の取得、従業員へのトレーニング等に対する補助が政府より与えられる。
加えて、フィリピンにおけるハラル・ツーリズムにも今後多く組み込まれる予定だ。
プロジェクトを通じて、フィリピンをムスリム・フレンドリーな観光地としていくことが期待されており、10億米ドルの市場であるハラル市場に乗り出す計画である。

以上

※本レポートは、Hopewill Group (Holdings)Ltdのメールマガジン「イスラム&MENASA市場」より一部修正のうえ、転載しています。
※ 本内容につきまして、無断複写・複製を禁止いたします。
※「THE MENASA/イスラム市場通信」の過去記事は 「国別情報一覧」 よりご確認ください。


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本レポートを通して、少しでもこの「MENASA」「イスラム」というキーワードが皆様にとって身近なものとなりましたら幸いです。

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