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2016.01.06

その他のアジア【イスラム】Hopewill《THE MENASA/イスラム市場通信》第14回「イスラム市場への参入を急ぐ隣国韓国に迫る!-前編-」
【イスラム】Hopewill《THE MENASA/イスラム市場通信》第14回
特集・イスラム市場への参入を急ぐ隣国韓国に迫る!-前編-

近年中東地域や東南アジアの富裕層・中間所得層の増加を受け、欧米・アジア各国の多国籍企業がこぞってイスラム市場への参入を試みている。
韓国もまた、イスラム市場での展開を視野に入れており、企業だけでなく政府もイスラム市場への関心を強めている。
今回より、隣国韓国のイスラム市場に対する取り組みを3回にわたってお届けする。

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韓国におけるムスリムの歴史
イスラム教は9世紀に初めて、アラブ人とペルシア人の商人によって朝鮮半島へ伝えられた。
11世紀になり再びアラブの商人が貿易目的で韓国を訪れた際、高麗王朝の首都開城市 (現在は北朝鮮の都市) に初めてモスクが建造された。
1270年以降、朝鮮半島は一時期、多宗教国家モンゴルによって支配されることになり、多くのムスリムが流入した。

1910年に朝鮮半島が日本に併合された際、100万人以上もの朝鮮人が隣国中国へ逃れた。
中国へ逃れた際にイスラム教へ入信し、1945年朝鮮半島独立後に朝鮮半島へ帰還し、イスラム教を持ち帰った者もあった。

1950-1953年に起こった朝鮮戦争の際には、北朝鮮の侵略を受けて米国が多国籍軍を導入、韓国防衛の為に5000隊以上のトルコ兵が参戦した。
朝鮮戦争の際のトルコ兵の立ち振る舞いが、韓国人のトルコやイスラム教に対するイメージを形作り、今日まで続いていると言われている。
トルコ兵と共に戦ったImam Abdulgafur Karaismailoglu が韓国ムスリムコミュニティ (the Korean Muslim Community) を創設し、現在韓国のムスリムは少数派コミュニティとして生活している。


韓国のムスリム
韓国政府によると、韓国には2012年時点で11万3266人のムスリムが居住していると発表されている。
今日、韓国のムスリムは、韓国生まれのムスリムコミュニティと、移民からなるムスリムコミュニティの2つのグループに分けられる。
前者のコミュニティは韓国で生まれ育ったムスリムを指し、その殆どが高等教育を受け、ムスリムを多数派とする国への留学を経験している。
韓国生まれのムスリムはイスラム教の布教を積極的に行っており、他国の移民ムスリムに対して社会的支援を行うネットワークを提供している。

後者のコミュニティは、他国からのムスリム移民を指し、民族毎に更に以下の5つのグループに分けられる:中東からのアラブ人ムスリム、トルコ人やイラン人を含む中東からのアラブ人以外のムスリム、中央アジアからのムスリム、南アジアからのムスリム、東南アジアからのムスリム。
アラブ人以外のムスリムはトルコやイランからの移民が多く、目立った人口増加は見られていない。
また、アラブ人のムスリム移民は国籍によって特色が異なる。
湾岸諸国から留学生として来るアラブ人ムスリムは、母国からの支援が手厚いこともあり、比較的韓国への居住権を獲得しやすい状況となっている。
マグリブ(モロッコ、アルジェリア、チュニジア等)からのアラブ人の殆どは留学生かビジネスマンである。
エジプトやスーダンからのムスリムは単純労働者として韓国に移住をしてきている。


韓国におけるハラル認証制度
韓国はアラブ首長国連邦(UAE)との貿易関係を強化したいと考えており、2015年9月にUAEのハラル認証制度を取り入れることを発表した。
食肉を中心とした農畜産物の輸出を拡大していく意向である。
アラブ首長国連邦を含む中東地域は砂漠地帯であり、韓国はアラブ首長国連邦が食料供給の90%を輸入に頼っている点に着目した。
韓国農水産食品流通公社 (the Korea Agro-Fisheries and Food Trade Corporation) 最高責任者の Kim Jae-soo 氏は「ハラル食品市場は2012年度に10億8800万米ドルもの市場規模に達し、2018年度には16億2600万米ドルにまで拡大すると予測している。

昨年2014年度、韓国は6億8000万米ドルものハラル食品を輸出した。
近年ハラル食品市場を独占しているのは、ノン・ムスリムの多国籍企業であり、例えばネスレ(Nestle) は150の工場で300種類以上のハラル食品の生産を行っている」と語っている。
韓国農水産食品流通公社はハラル貿易を拡大する為の最初のステップとしてアラブ首長国連邦のアブダビにオフィスを構えた。
現地オフィスを通じて最新の市場・ビジネス情報を獲得し、韓国企業のハラル認証取得の促進に役立てる狙いである。
また、韓国は今後、2億2000万人のムスリムを抱えるインドネシアのハラル認証制度も取り入れようとしている。
韓国には、唯一のハラル認証団体である韓国イスラム教中央会(the Korea Muslim Federation: KMF) が存在するが、他国への輸出を視野に入れ、イスラム教を多数派とする国の認証機関からハラル認証を取得する企業が増加しているのが現状だ。

以上

※本レポートは、Hopewill Group (Holdings)Ltdのメールマガジン「イスラム&MENASA市場」より一部修正のうえ、転載しています。
※ 本内容につきまして、無断複写・複製を禁止いたします。
※「THE MENASA/イスラム市場通信」の過去記事は 「国別情報一覧」 よりご確認ください。


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「THE MENASA/イスラム市場通信」は、今後ますます注目を集める地域のME(Middle East) 、NA(North Africa)、SA(South Asia) 市場およびイスラム市場について、様々な観点から情報を発信してまいります。
本レポートを通して、少しでもこの「MENASA」「イスラム」というキーワードが皆様にとって身近なものとなりましたら幸いです。

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