2015.12.24
- その他のアジア【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第5回 『インドネシア:輸入業者識別番号(API)に関する規則改正及び再改正に向けた動き』
- 【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第5回
-
本レポートは、東南・南アジア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター「MHM Asian Legal Insights 第49号(2015年12月号)」より、その内容の一部を転載しています。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務展開の一助となれば幸いに存じます。
インドネシア:輸入業者識別番号(API)に関する規則改正及び再改正に向けた動き
インドネシアでは、2015年9月28日の商業大臣令2015年70号(「新規則」)により、輸入業者識別番号(API)に関する規則が改正されました(施行予定日は2016年1月1日)。
しかし、新規則の一部について、産業界からの批判が相次いだことから、商業省は近時、当該規制を緩和する新たな商業大臣令の草案(「変更草案」)を公表しています。
新規則により導入された規制と、変更草案による修正案について、重要なポイントをご紹介いたします。
1 API-PとAPI-U
インドネシアでは、原則として、APIを保有する業者でなければ輸入を行うことができません。
このAPIはさらに、製造業のための原材料等の輸入を主に想定した製造輸入業者識別番号(API-P)と完成品輸入を想定した一般輸入業者識別番号(API-U)に区分され、一業者はこのいずれかしか取得できないこととされています。
新規則及び変更草案の下でも、この区分は維持されています。
2 新規則の下でのAPI-Pに関する規制と変更草案による緩和策
API-Pは資本財、原材料、補助材及び製造過程に用いられる材料を自己使用目的で輸入する際に用いられるものであり、原則として完成品の輸入は認められていないところ、新規則制定以前においては、市場調査目的や補完品として輸入する場合には、例外的に完成品の輸入が認められていました。
しかし、新規則においては、上記API-P保有者による完成品輸入の例外が削除されました。
同改正については、API-P保有者による完成品輸入がおよそ認められなくなることを懸念した産業界からの強い批判を招いたため、商業省は、変更草案において、従前同様の例外規定を再度設け、さらに、アフターセールスサービスのための輸入を新たな完成品輸入の例外類型として追加する案を示しています。
以下の表は、変更草案における各類型の完成品輸入が認められるための要件を記載したものです。
完成品輸入の例外類型 要件 市場調査 ①製品が新品であること
②製品がAPI-P保有者による生産ができないものであること
③市場調査目的の製品輸入は商業省の定める一定期間に限り行うものであること補完品 ①製品が新品であること
②製品がAPI-P保有者による生産ができないものであること
③製品がAPI-P保有者の保有するビジネスライセンス等と整合したものであること
④製品が海外の関連当事者により製造されたものであることアフターセールス
サービス①製品が新品であること
②API-P保有者が当該製品を完全に生産することができない、又は、当該製品のインドネシア市場における取得が限定されていること
③製品がAPI-P保有者の保有するビジネスライセンス等と整合したものであること
なお、新規則制定以前は、API-P保有者による完成品輸入については、商業省より Producer lmporter としての認証を得た業者についてのみ認められていました。
変更草案の下では、Producer lmporter という用語が削除され、Producer lmporter の認証の代わりに商業省からの lmport Approval の取得を必要とする案が示されています。
3 新規則によるAPI-Uに関する規制の緩和
新規則制定以前においては、API-U保有者は、原則として21のHSコードのうちの1つのHSコードに属する製品しか輸入することができず、例外的に、輸出業者との間で、一定の契約上の合意や株式保有等の「特別な関係」がある場合等に限り、複数のHSコードに属する製品の輸入が認められていました。
新規則は、上記のHSコードに関する制限を廃止し、輸出業者との間で「特別な関係」があるか否かにかかわらず、API-U保有者は複数のHSコードに属する製品を輸入することが可能となりました。
この改正は、変更草案においても維持されています。
上記の通り、今回の一連のAPIに関する改正及び再改正の動きにより、全体としてはAPIに関する規制は緩和される方向にあるものと評価できます。
しかし、変更草案は、現時点では正式に規則として公表されているわけではないこと、またAPI-P保有者の完成品輸入の例外が認められるための要件の明確化も今後必要になっていくものと思われることから、今後の動向にも引き続き注視する必要があると考えられます。
以上
※ 本内容につきまして、無断複写・複製・転載を禁止いたします。
※ 本内容についてのご質問・関係するご相談は、こちらのフォームに必要事項をご入力の上、問い合わせ願います。
「森・濱田松本法律事務所 アジアニュース」の過去記事は 《国別情報一覧》その他のアジア よりご確認ください。
- 【掲載元情報】
- 森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ 作成