2015.12.04
- その他のアジア【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第4回 『インドネシア:外国人雇用手続に関する規則の改正』
- 【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第4回
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本レポートは、東南・南アジア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター「MHM Asian Legal Insights 第47号(2015年11月号)」より、その内容の一部を転載しています。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務展開の一助となれば幸いに存じます。
インドネシア:外国人雇用手続に関する規則の改正
インドネシアでは、2015年6月29日から、外国人雇用手続に関する労働移住大臣規則2015年第16号(「旧規則」〉が施行されていました。
旧規則の下では、①外国人労働者1名当たりのインドネシア人労働者雇用比率の明文化、②非居住外国人取締役・コミサリスに関する就労許可(IMTA)の取得、③一時的業務のための外国人雇用に関する雇用計画書(RPTKA)及びIMTAの範囲拡大等、重要な事項についての改正がなされており、これらは現地の日系企業にとっては大きな負担となり得るとの懸念がありました。
しかしながら、2015年10月23日に、旧規則の一部を改正する内容の労働移住大臣規則2015年第35号(「新規則」〉が制定され、上記重要事項についての改正が行われており、日系企業の懸念は一定程度解消されるものと見込まれています。
1 外国人労働者1名当たりのインドネシア人労働者雇用比率に関する規定の削除
旧規則では、外国人労働者1名当たり、インドネシア人労働者を10名雇用することが義務付けられていました。
サービス業等の業種では、旧規則に定めるインドネシア人労働者雇用比率を満たすことが困難なことが多く、実務上も運用がどのようになされるのか懸念されていましたが、新規則の下では同義務は削除されるに至りました。
2 非居住外国人取締役・コミサリスに関するIMTAの取得義務を定めた規定の削除
旧規則は、非居住外国人取締役・コミサリスに関して、雇用主に就労許可(IMTA)の取得を義務付けていました。
多くの日系企業はインドネシア現地法人に非居住役員を設けていることから、旧規則を受けて、非居住役員についてのIMTAの取得や非居住役員の減員等の対応の検討を進めていた企業も多く存在していましたが、新規則により、同義務は削除されるに至りました。
3 一時的業務のための外国人雇用に関するRPTKA及びIMTAの範囲の限定
外国人を雇用するためには、雇用主は雇用計画書(RPTKA)を作成し、IMTAを取得する必要があります。
旧規則の下では、一時的業務のためのRPTKA及びIMTAを取得する必要のある業務の範囲が拡大されていましたが、新規則において、その範囲が限定されました。
具体的には、(i) 商業映画の製作に参加する場合、(ii) 1ヶ月以上の期間で、インドネシアにある支店について、監査、生産管理又は調査を行う場合、(iii) 機械の設置、電気工事、アフターセールス、事業の監督段階における製品に関連する業務を遂行する場合に限り、一時的業務のためのRPTKA及びIMTAが必要とされています。
特に、旧規則では、外国人がインドネシアでセミナーを行う場合や会議に出席する場合にも一時的業務のためのRPTKA及びIMTAが必要とされており、実務上も懸念されていたところですが、新規則では、そのような場合には、一時的業務のためのRPTKA及びIMTAを作成・取得する必要がないことが明確化されたことになります。
新規則は、旧規則に定められていた外国人雇用に関するいくつかの大きな改正事項を削除・修正した重要な規則となります。
今回の改正は、インドネシアにおける朝令暮改的な法規の改正を象徴するものであり、外国人雇用を巡る流動的な政策動向に関する懸念が払拭されたとは言い切れないので、依然として今後の改正・運用の動向については注視する必要があります。
以上
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- 森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ 作成