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2015.02.17

その他のアジア【アジア】外国人技能実習制度のこれまでとこれから/第5回 「各国で花開く成果と今後の可能性」
【アジア】外国人技能実習制度のこれまでとこれから/第5回
日本の人手不足を解消しつつ、人づくりを通じて途上国の経済発展にも貢献する外国人技能実習制度。
これまで4回にわたって、制度の現状や適切な制度運用についてお伝えしてきましたが、最終回となる今回は、各国で花開く成果と今後の展望について紹介します。

■母国で活躍する帰国実習生の声

設立から20年以上が経過し、各方面から様々な評価を受けている外国人技能実習制度ですが、ルールに基づき正しい運用を行うことで大きな成果につながるということが、過去の実績の中で明らかになっています。

2008年に来日し、小松工業株式会社(静岡県磐田市)で機械加工の実習を受けた元インドネシア実習生のテグフ・ウィボウォさんを例としてご紹介します。
テグフさんは、2011年に帰国後、日本の技能実習を通じて学んだことを活かし、縫製工場の社長として活躍しています。

「会社経営で大切にしているのは、技能実習で得た知識『規律を守る』『時間を守る』『従業員を大切にする』ことです。その一つとして、乳児・幼児を抱える女性従業員のために、働きながら子育てができるよう、工場内に託児所と診療所を設置しました。以前は従業員を集めるのが大変でしたが、最近は工場の評判を聞きつけて、毎日50人もの人が応募してくるようになりました。小松工業の皆さんが私を育てて下さったように、私も従業員を大切にして、インドネシアの若者を育てていきたいと思っています」

現在約500名の従業員を抱えるテグフさんですが、最近では高品質の製品を欧米へ輸出するなどして会社を成長させています。


製品の品質について、従業員に直接指導する元インドネシア実習生のテグフさん


一方、2008年から2011年に株式会社ビップトップ(埼玉県さいたま市)でプラスチック成形の実習を受けた元ベトナム実習生ドー・フォン・フィーさんは、来日までの経緯をこのように振り返ります。
「ベトナムは昨今めざましい経済発展をとげていますが、私の家は農家を営んでおり、生活は恵まれたものではありませんでした。働きながら大学で勉強していましたが、いくら稼いでも学費や生活費を支払うには十分でなく、絶望的な気持ちの中、学業途中で帰郷しました。アイム・ジャパンのプログラムを知り、参加を決めたのはそのような時期です」

日本滞在中の3年間、日本語や技術、製品の管理方法について必死に勉強したフィーさん。
その努力が高く評価され、帰国後、株式会社ビップトップのベトナム現地法人で工場長を務めることになりました。
「3年の実習が修了して帰国した後も、日本で学んだ知識を使い続けることができるのは本当に幸せなことです。私は、素晴らしい人々がいる素晴らしい日本という国を決して忘れることはありません」


VIP TOP VIET NAMで工場長として活躍する元ベトナム実習生のフィーさん


テグフさんやフィーさんの例から言えることは、技能実習制度が途上国の経済発展や貧困撲滅、さらには日本と途上国間の友好関係構築につながっているということです。
制度に携わるものに今後課されている使命は、このように大きなメリットと可能性を秘めた制度を大切に育て、改善すべきは改善していくことです。


より良い制度にしていくために

アイム・ジャパンは、送出国政府と緊密に協力し、常に技能実習プログラムの改善を図っています。

その一環として、ベトナムの事前講習において、2014年7月から建設関連3職種(とび、鉄筋施工、型枠施工)の特別訓練を開始しました。
これは、これらの職種に従事する実習生を対象に、日本での実習活動がより充実したものになるよう、基礎的な知識や現場で必要な技能を日本入国前に訓練するというものです。
同訓練には、実技だけでなく座学の講習も含まれており、実習生は工具の名称や安全知識などについて時間をかけて学習できるようになっています。


2014年7月からベトナムで開始された建設特別訓練の様子



実習生が組み立てた枠組み足場の前で


他にも、アイム・ジャパンでは、制度がより良い方向へ発展していくよう、日本最大の実習生受入監理団体として積極的な活動を行っています。
2013年12月に法務省で開かれた「出入国管理政策懇談会 外国人受入れ制度検討分科会(第5回)」では、制度の改善点について意見を述べ、適正な監理体制の強化や職種の拡大、期間の延長などを訴えました。

外国人技能実習制度は、日本の社会と産業の健全な発展、開発途上国の経済発展に寄与する必要不可欠な制度です。
制度に関する議論が数多くなされている今こそ、適正な運営を推し進め、より良い制度に育てていきたいと考えています。


※本レポートは、㈱NCBリサーチ&コンサルティング機関誌『飛翔』2015年1月号に掲載された記事を転載しております。

なお、『外国人技能実習制度のこれまでとこれから』の過去記事は、当サイト 『国別情報一覧』に掲載しております。

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