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2015.01.16

ベトナムベトナム【ベトナム】エスネットワークス・ベトナム通信/第4回 「ベトナム駐在員事務所の閉鎖における留意点 ①」
【ベトナム】エスネットワークス・ベトナム通信/第4回
◇『エスネットワークス・ベトナム通信』は、ベトナム進出のフルサポートが可能な株式会社エスネットワークスの現地法人
  ES NETWORKS VIETNAM CO., LTD.のハノイ、ホーチミンの駐在員、スタッフからの情報を皆様にお届けするレポートです。  
  ベトナム進出を検討する際にお役立ていただければ幸いです。

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ベトナムに新規進出する日系企業は引き続き増加傾向にありますが、既にベトナムに進出している日系企業のベトナム国内での動きも活発化し多様化しています。
その中で、今回は駐在員事務所(REP)の閉鎖に関しての留意事項を述べたいと思います。

駐在員事務所の閉鎖は、ベトナムから完全撤退するケースにおいて当然生じます。しかし、現在最も多い閉鎖理由は、一定期間駐在員事務所として調査活動をしていたが、営業活動を開始するため、または、組織の機能を拡充するために、駐在員事務所に替わって現地法人を開設するケースです。

◆本レポートの内容

1. REPの閉鎖に関する留意点
1.1 各種手続の期限について
1.2 税務について
1.3 労務について
1.4 残存資産の処理について

2. REPの閉鎖と現地法人設立を同時に行なう場合の留意点
2.1 同じ場所(住所)でREPまたは現地法人のどちらかしか登録できない
2.2 REPの所長は現地法人の法的代表者を兼任することができない


1. REPの閉鎖に関する留意点

1.1 各種手続の期限について

現行の法律(※)において、REPの閉鎖手続に関しては、以下の2つの期限が定められています。
※2006年7月25日交付Decree No. 72/2006/ND-CP

(1) REP閉鎖告知の期限
・遅くとも閉鎖予定日の30日前までにREPライセンスの発給機関、債権者、労働者及びその他関係者に対してREP閉鎖の通知を提出しなければならない。
・管轄の工商局に提出するREP閉鎖予定申請において、REP閉鎖予定日を記入する必要がある。
従って、閉鎖予定日を申請日より30日以上に設定する必要があります。

(2)REPの未払金の支払期限
・REPが自ら閉鎖を決定して申請する場合、REPに関る全ての未払金を遅くとも閉鎖日(=REP閉鎖確認書の日付)の15日前までに精算する必要がある。
従って、全ての債務精算を終えてから正式にREP閉鎖申請を提出するまで、少なくても15日間を空けておく必要があります。

 
1.2 税務について

REPの閉鎖申請にあたって、未払税金のないことを表明する通知書を提出しなければなりません。但し、当該通知書を取得するため、税務調査を受ける可能性が高いことに注意が必要です。調査の概要及びその留意点は以下の通りです。

(1)調査対象
①REPに勤務していた全ての従業員の個人所得税(PIT)の過去の申告・納税の状況
調査対象資料:
全ての従業員/駐在員のPITの申告書納税証明及びその付随資料(雇用契約書や任命書等)

②REPの全ての入出金取引
調査対象資料:
REPの銀行口座の入出金明細、小口の入出金明細、費用に関る証憑(VATインボイス等)

(2)よくある指摘
①ベトナム人従業員のPITの追徴課税
追徴課税の原因:
・計算方法の相違
・課税対象となる手当等の加算漏れ

②REP所長のPITの追徴課税
追徴課税の原因:
・過去の計算方法の相違 
単純な誤り以外に、2014年初頭より発効されたネット給与の新しいグロスアップ方法が過去の分へ遡って適用されたことにより追徴課税が発生する可能性が高くなっています(多くの日本人駐在員のベトナム支給の給与はネット保証給与です)。
・証憑の不備
適切な証憑がない費用又は説明できない費用は「所長の所得」としてみなされ、所長の課税所得の増加となります。

③本社からの出張者のPITの追徴課税
過去に、出張者に係るホテル代や航空券や日当等の支払がREPから行った場合、当該費用は出張者のベトナムに滞在していた期間中の所得として課税されることとなります。

④業務委託先の個人のPITの追徴課税
ドライバーやクリーニング業者等の個人に対して報酬を支払う際には10%のPITを源泉徴収して納付する義務があります。しかし、REPにてPIT法をよく理解する総務担当者がいない限りこの源泉徴収がしばしば忘れられています。結果として、税務調査で発見された際に追徴課税と共にそれに係る延滞利息も請求されることになります。

⑤付加価値税(VAT)の追徴課税
REPはVATの申告義務がないため、支払時にVATインボイスの入手が不要だとよく誤解されています。しかしながら、REPは一般的な消費者とみなされるため、ベトナム国内での消費に対してVATの支払義務があります。そして、VATを支払っていることの証明としてVATインボイスの入手及び保管が必要となります。
逆にVATインボイスがない費用は未だVATを払っていないものとみなされ、VAT10%の追徴課税が請求されることとなります。

(3)指摘への対策
上記(2)の指摘及び追徴課税を回避するためには、以下の対策が必要だと考えられます。
① 過去のPIT計算方法及び計算漏れがあるかどうかの確認
②各種費用の付属証憑の補足(例:出張費の場合は「出張決定書」)
③本社の代わりに支給していた出張者に関る費用の確認
④業務委託先に対する支払を確認、可能な場合、業務委託先よりPIT10%を回収して納税する。
⑤ VATインボイスの入手

次号につづきます。

※『ベトナム通信』の過去記事は、当サイト 『国別情報一覧(ベトナム)』に掲載しております。

    
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【本レポートに関するお問い合わせ・ご相談】
 東京: 株式会社エスネットワークス 担当 香取(k-katori[アットマーク]esnet.co.jp)まで
 ホーチミン: ES NETWORKS VIETNAM Co., Ltd. 担当 樋崎(y-hizaki[アットマーク]esnet.co.jp)まで
 会社名(屋号)、担当者様お名前、電話番号、メールアドレスに、問い合わせ内容を添えてメール願います。
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【掲載元情報】
ES NETWORKS VIETNAM Co., Ltd.  監修

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