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2014.12.09

その他のアジア【アジア】外国人技能実習制度のこれまでとこれから/第1回 「制度創設の4原則と制度見直し議論」
【アジア】外国人技能実習制度のこれまでとこれから/第1回
景気の回復に伴い、特に製造業や建設業などでは人手不足が深刻化しています。
こうした中、外国人労働者受入れに関する議論が活発化し、外国人技能実習制度の見直しも進められています。
本レポートでは5回に分けて、外国人人材の活用について考察します。

■外国人技能実習制度創設の4原則

公益財団法人国際人材育成機構(略称:アイム・ジャパン)では、日本政府が平成5年4月に設立した外国人技能実習制度に基づき、ベトナム・タイ・インドネシアの若者を技能実習生として日本に受け入れています。
技能実習生の受入事業を行う団体は全国に多数ありますが、アイム・ジャパンは外国政府が直接派遣する実習生を受け入れている全国唯一の団体として、かつ、日本最大の団体として、4万人超の受入実績を有しています。

技能実習制度が創設される以前の日本社会は、バブル経済による人手不足が深刻で、労務倒産が社会問題となっていました。そこで政府「外国人労働者問題関係省庁連絡会議」により外国人労働者受入れのあり方が検討され、いわば「開国派」と「鎖国派」の折衷案として4つの原則が示され、それに基づいて創設されたのが外国人技能実習制度です。その4原則というのは、

①技術・技能労働分野に限って外国人労働者を受け入れること
②受入人数の総量規制を行うこと(受入数を制限し、大量に受け入れないための措置) 
③一定期間に限り在留させること(一定期間後、必ず帰国させる措置) 
④開発途上国への国際貢献(技術移転)としての立場をとること 

の4点です。つまり、外国人を労働者として活用しつつも、枠組みにそって限定的に受け入れ、かつ、新興国の人材育成を図ることで国際協力にもつながるよう設計されたのが制度のそもそもの成り立ちです。


■外国人技能実習制度の見直し

昨今、日本国内では有効求人倍率が1.10倍(平成26年7月分季節調整値)となり、人手不足が叫ばれています。
職業別にみると、金属加工業では1.43倍、建設躯体工事業では6.74倍であり、一般事務職の0.23倍や営業の1.04倍と比較して人手が不足していることが読み取れます。建設業は土木工事業や採掘業などを含めた全体でも2.74倍という高い数値を示しており、人手不足が入札不調や工期の大幅な遅れを招いています。

こうしたことから、外国人労働者受入れに関する議論が盛んになり、政府による制度の見直しなどが進められています。
国土交通省では、建設業で技能実習を修了した外国人を建設分野における労働者として受け入れる措置を講じようとしており、2015年4月からの施行を決定しています。
また、現行の技能実習制度に関しては、期間延長(3年から5年)や監理体制の強化、受入人数枠の緩和、職種の拡大など、制度を抜本的に見直すことが閣議決定されており、2015年度中の施行に向けて、法務省を中心に調整が進められています。


有効求人倍率の推移
(厚生労働省「一般職業紹介状況(平成26年7月分)」より)


※本レポートは、㈱NCBリサーチ&コンサルティング機関誌『飛翔』2014年10月号に掲載された記事を転載しています。

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