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2014.09.24

中国中国【中国】中国通信/第7回『中国人幹部社員との労務トラブル』 ①
【中国】中国通信/第7回
中国現地法人に駐在する日本人社員にとって、日本語のよくわかる中国人スタッフはとても心強い存在です。
彼・彼女なら、中国現地の制度や習慣は当然、日本の企業のこともよくわかっていると思われるからです。しかし、往々にして、その思いは、日本人社員の願望に過ぎず、時として悲劇的な結果を生み出すことがあります。

そこで、今回は、2回にわたって『中国人幹部社員との労務トラブル』についてご紹介します。

1.信頼できる中国人幹部社員とは

日本企業が現地採用する多くの中国人幹部スタッフは、高い日本語能力を備えています。日本語が話せない中国人社員でも、財務・人事等の管理業務の豊富な専門知識を持っています。いずれも、現地法人の経営には不可欠のものです。ただし、中国に進出して直ぐに、このように有能なスタッフを採用できるとは限りません。

大概のケースでは、進出検討段階で参加した日本語のわかる中国人スタッフが、最初の幹部社員として現地法人の運営に参加し、遅かれ早かれ大きな影響力を持ちます。
会社立上げ時は通常の会社業務とは違い、その時限りの仕事というのが結構多いものです。慣れない土地へ派遣された日本人社員にとって、経験したことのない取引先や役所との交渉は苦痛です。その交渉の通訳や、こまごまとした衣食住の世話までしてくれる中国人幹部社員は頼りがいのある人材で、恩人にすら見えます。

やがて、中国人幹部社員は自分自身に能力と権限があると勘違いをはじめます。日本人社員はそれを助長します。中国人幹部社員が間違った通訳をしても日本人社員にはわかりませんし、中国人幹部社員が行った手続きに不備があっても、日本人社員はそれを発見する術を持たず、間違いは潜在化してしまいます。
なかには、自分の親族や友人を、有用な人材と偽って会社に引き入れ、社内で閥を作る者まで出てきます。後から採用された中国人スタッフは、このような問題に気づいても、我が物顔に振る舞う中国人幹部社員やその閥の社員からの後難をおそれて、見て見ぬ振りです。

こうして、「信頼できる」 中国人幹部社員による過誤は見えなくなってしまいます。問題が表面化しそうな時でも、幹部社員は何食わぬ顔でそれを巧妙に隠して処理してしまいます。いわゆる、「臭いものに蓋をする」訳です。

日本人のように誤りを認め是正することは、中国では、「過ちをおかした者は許されない」とか「自分でトラブルを処理する能力がない」という評価となります。中国では、そういう人物は信頼するに足りないと評価されるきらいがあります。中国の現場では、日本人社員が「信頼していた」幹部社員が、「信頼されるよう」がんばった結果、問題が更に拡大してしまった、ということが頻繁に起きているのです。

2.問題中国人幹部社員をめぐる労務トラブル

隠された問題というものは、いつかは露見します。日本では、過ちの大小に応じた責任を問われることが多いのですが、中国では過ちの大小にかかわらず、過ちを犯した者が全否定されることが少なくありません。そのためか、問題が露見しても、当事者はその過ちを容易に認めないのです。

前述のような中国人幹部社員の問題が表面化した場合、彼・彼女は徹底的に自分の責任ではない、或いは不可抗力であったという言い訳に終始します。
日本人であれば、過ちを認め謝れば、立ち上げ時の働きに免じ、もう一度信用しようと思うでしょう。そんな日本人は、自ら問題解決をはかろうとしない中国人の態度に憤りを通りこしてあきれてしまうはずです。
会社としては、問題幹部社員に対して警告、減給、配置転換、降格や解雇の処分をするのが普通です。ただ、その処分の仕方の手順を間違えると、逆に処分をする会社にしっぺ返しがくるのです。

ある会社では、職務懈怠を処分の理由としましたが、職務懈怠の具体的事実を詳細に処分のための書面に書かなかった為、中国人幹部社員は、処分の理由が虚偽であると反論してきました。さらには、その幹部社員が処分文書の受け取りを拒否したため内容証明をつけて郵送すると、その幹部社員は第三者に知らせることで当人の名誉を毀損したと、逆襲してきました。

この会社では、その幹部社員との間で労働契約を書面で交わしていませんでした。会社立ち上げ時には書面の必要性に気づかず、ましてや幹部職員であれば、そのようなものは不要であろうと軽視していたからです。
最後は、労働契約を締結もせず従業員を酷使している企業であると訴えられてしまいました。この会社は、その幹部社員を解雇しようとしていたのですが、それまでは、その幹部社員に多くを任せすぎていたため、会社(日本人従業員)だけでは十分な証拠を集めることが出来ません。
また、会社には違法や不正を黙認した弱みがありました。創業以来の幹部社員だけに、一筋縄ではいきません。さらには、問題幹部社員の勤務年数が長かったので、会社に与えるマイナスの影響は甚大でした。

次回 の中国通信(第8回)では、 『中国人幹部社員との労務トラブル』 ②として、幹部社員の解雇についてお伝えします。
※ 中国通信の過去記事は 「国別情報一覧(中国)」 よりご確認ください。


                                                                      
【掲載元情報】
山田ビジネスコンサルティング株式会社 中国事業部 部長 宮田 顕
[略歴]
□2008年3月~ <山田ビジネスコンサルティング㈱>

□2005年4月~2008年  <大手電子メーカー 中国現地法人 総務部長>
総務部長として、約4,000人の工場の総務・人事・当局交渉・US-SOX法対応等に従事。
合計17年に及びアジア・中国の海外拠点、現地法人に勤務。

□1977年~2005年 <大手都市銀行にて国際業務に従事>
シンガポールにて貸出、資金・為替・デリバティブ等取引、主計企画業務に従事。
上海駐在員事務所長、北京日中合弁リース(銀行と中国対外経済貿易合作部との合弁企業)副社長として中国駐在。
中国進出日系企業支援、同行上海支店開設や中国系企業とのリース取引に従事。

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