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2014.08.14

中国中国【中国】陳弁護士の法律事件簿⑬「労働組合主席の労働契約解除について」
【中国】陳弁護士の法律事件簿⑬

労働組合主席の労働契約解除について

孫さんは2008年6月A社に入社し、2010年6月に任期5年で労働組合主席に選出された。しかし、2011年4月10日より39日連続で無断欠勤をしたため、2011年5月21日にA社は重大な規律違反を理由に、孫さんとの労働契約を解除した。
孫さんは労働組合主席の任期が満了していない状況下で、A社が上級労働組合※の承諾を得ず、労働契約を解除したことは違法解除に該当するとして、法に従い賠償金を支払うべきであると主張、紛争に発展した。

※上級労働組合: 企業の労働組合を管轄する地方レベルの労働組合組織


『分析』

『労働契約法』第39条第(2)項等の関連規定によると、企業の労働組合主席が就任期間内に労働規律又は規則制度に重大な違反があった場合、企業は労働契約を解除する権利を有するとしている。
但し、企業が労働組合主席の労働契約解除をする際、上級労働組合の承諾を得る必要があるか否かについては、異なる見解がある。

【見解1】
《労働部による企業労働組合主席の労働契約締結問題に関する通知》(労部発[1996]122号、以下『122号文書』)では、「労働組合主席が既に企業と労働契約を締結している場合、双方は継続して労働契約を履行し、本企業の労働組合委員会と上級労働組合の承諾を得なければ、企業は労働契約を解除してはならない。」と規定している。
つまり、122号文書では企業が労働組合主席の労働契約を解除する場合、事前に企業の労働組合と上級労働組合の承諾を得ることを要求している。

【見解2】
《労働と社会保障部弁公庁による労働組合主席の就任期間内に雇用企業が紀律違反を理由に労働契約を解除できるか否かに関する返答》(労社庁函[2005]24号、以下『24号文書』)では、「労働組合主席、副主席又は委員が就任期間内に『労働法』第25条に規定されている状況のいずれかに該当する場合、企業は労働契約を解除することができる。又、『労働組合法』第21条の規定によると、企業は一方的に従業員の労働契約を解除する場合には、事前にその事由を労働組合に通知しなければならない。また、労働組合が企業側が法律、法規並びに関連契約に違反していると判断し、改めて対応を検討するよう要求した場合、企業は労働組合の意見を検討し、且つその後の処理結果を書面により労働組合に通知しなければならない。」と規定している。
つまり、24号文書では、労働組合主席が企業の従業員であれば、企業は一般の従業員の労働契約解除の手続(事前に事由を労働組合に通知し、且つ処理結果を書面により労働組合に通知する)に照らして、労働組合主席の労働契約を解除することができ、企業の労働組合と上級労働組合の承諾を得ることを要求していない。

【見解3】
『労働組合法』第17条には、「労働組合主席、副主席の任期が未満了の場合、その業務を勝手に調整してはならない。仕事上の必要性により調整しなければならない場合は、企業の労働組合委員会と上級労働組合の承諾を得なければならない。また、労働組合主席、副主席を罷免するにあたっては、従業員大会又は従業員代表大会を召集してこれを討論しなければならず、従業員大会の従業員全体又は従業員代表大会の代表の過半数の承諾を得ない場合は、罷免してはならない。」と規定している。
つまり、『労働組合法』では、民主的な手続により労働組合主席を罷免した後、一般の従業員の労働契約解除の手続に照らして処理しなければならないとしている。

以上3つの見解を解説したが、実際に企業が労働組合主席の労働契約を解除する際は、事前に企業の労働組合委員会及び上級労働組合より承諾を得てから諸手続きを開始することが望ましい。

以上

 


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【掲載元情報】
GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
[略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員

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