2014.07.11
- その他のアジア【イスラム】週刊イスラム市場ダイジェスト②「日本に必要なハラルサービスとは」
- 【イスラム】週刊イスラム市場ダイジェスト②
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週刊イスラム市場ダイジェスト②「日本に必要なハラルサービスとは」
「チャイナプラスワン」として多くの企業が中国以外の国に目を向けるようになった昨今、その中でも特に注目されているのが、急成長を続けるイスラム市場です。人口は世界人口の4分の1にあたる約16億人にのぼり、アジア太平洋地域にはその6割にあたる約10億人が生活をしていると言われています。
弊社でも最近はイスラム圏に関するお問い合わせを頂く機会が増加しており、そのサービスの一環として、イスラム圏のビジネス情報に特化したメールマガジン「週刊イスラム市場」(http://www.shukanislam.com)を毎週火曜日に配信しております。
今回は、「週刊イスラム市場」の内容を一部抜粋し、Crescentrating社 CEO ファザール・バハディーン氏が語る日本に必要なハラルサービスについてお伝え致します。
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Crescentrating社 CEOファザール・バハディーン氏独占インタビュー!
「ハラルツアー生みの親が語る!日本に必要なハラルサービスとは!?」
世界のイスラム教徒の海外旅行市場は年率4.8%で成長すると見込まれており、多くの日本企業がイスラム教徒の訪日旅行を積極的に誘致している。今回は、国内外のイスラム教徒向け旅行予約サイト「ハラルトリップ・ドットコム」を開設し、イスラム教徒向けの旅行関連施設の格付けを行うクレセントレーティング社 CEO ファザール・バハディーン氏にインタビューを行った。
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Q1. ムスリムが旅行する際、彼らが直面する問題はどのようなものがありますか?
A.私たちはその課題を3つのカテゴリーに分類します。
第1のカテゴリーは「必要性があるもの」です。
日本のような非ムスリム国に旅行した際、ムスリム旅行者が直面する課題がこの第1カテゴリーに分類されます。基本的にこのカテゴリーには2つの問題が存在し、1つはハラルフードに関連したもの、もう1つはお祈りの施設に関連したものです。
日本、韓国、ベトナムのようにムスリムの割合が非常に少ない国の場合、ムスリム旅行者が必要とするこれらのものを探すことは大変難しいのです。
非イスラム国において、ムスリムが懸念することは大きく分けて2つあります。1つはハラルフードが入手可能かどうかという点、もう1つは非イスラム国のレストランや食品サプライヤーが提供している食品の信憑性です。
観光業において、ムスリム旅行者をターゲットとして捉えるのであれば、ハラルフードを提供し、安心感を与える必要があると考えます。
また、ムスリムの旅行者に対して、お祈りの施設やお祈りができる場所の情報提供を行うことも重要です。ツアー会社の場合は、ムスリムが適切な場所で礼拝できるように、時間の配慮が必要になります。
ムスリムの中には、1日5回の礼拝を省略する人もいますが、ムスリムを誘致する場合には、お祈りの施設の情報を把握しておくことは不可欠です。
以上2つの課題は、必要性が欠かせない第1カテゴリーに分類されます。その中の基準の1つにシャワー付きのトイレの有無も含まれます。ムスリムは身体を水で清めなくてはならないため、ウォシュレットを備えた便器またはハンドシャワーを設置する必要があるのです。
第2のカテゴリーは、ラマダン期(断食月)のムスリムのニーズへの対応です。
中東のムスリム旅行はラマダン期が学校の休暇中と重なります。この時期に旅行するのが好きではないムスリムもいるでしょうが、一部のムスリムはラマダンに合わせて国外に移動します。しかし恐らく、日本は彼らがラマダン中に訪問する対象国となることは少ないでしょう。トルコのようなイスラム教徒の国や、ムスリム対応レベルの高いマレーシアを選ぶ人が多いようです。ラマダン期には、特別な対応に迫られることも多いのです。
最後の第3カテゴリーは、「あると便利であるもの」です。1つ目は「施設内の非ハラル活動が存在しない場所にてサービスが提供されるかどうか」という点です。ホテルを例に取ると、アルコールを一切提供しないホテルのように、戒律に沿わないものを排除したホテルはムスリム旅行者に受け入れられやすい傾向にあります。こうしたニーズを対象とする隙間市場は、非常に豊かであり、十分なサービスが求められます。
また、ジムやプールといった共用スペースにおいて、男性と女性を分離するというサービスも重要です。ムスリム旅行者をターゲットとするためには、まずは彼らが抱える問題を把握する必要があります。このような理解が深まることで、ハラルツアー業界が成熟し、ムスリムの旅行者が非イスラム国により気軽に訪れることができるのです。
Q2. ラマダン期に世界を旅行するムスリム客のニーズに応えて、成功した非イスラム国の例はありますか?
A.オーストラリアのクイーンズランド州です。
同州では、「クーラー環境でラマダンを楽しみましょう」というスローガンを掲げ、ラマダン期のムスリム旅行者をターゲットに観光売上を伸ばすことに成功しました。
クイーンズランド州のゴールドコーストには多くのムスリムが居住しており、大きなモスクもあります。オーストラリアのように、非イスラム国であってもムスリムのコミュニティが既に存在していれば、このようなラマダン期の対応も可能になるのです。
Q3. ムスリム旅行者を今後ターゲットとして捉える日本企業にメッセージをお願いします。
A.ハラルフードの提供はホテルだけに限らず、すべての空港でも実行されるべきです。
空港を見れば、その国のムスリムに対する理解を見ることができます。例えば台湾の台北空港では、数年前まではハラルフードは全くありませんでした。しかし、今では空港の両方のターミナルに2つのハラル認証をもつレストランと礼拝部屋が用意されています。まずは、空港にハラル認証をもつレストランと礼拝部屋を設置することがムスリムに向けたサービスの第1歩になるかと思います。
航空以外の方法で長距離移動する際にハラルフードが食べられる環境にあることも大切です。移動途中にハラル認証レストランがあれば、そこでツアーの休憩をすることが出来ます。高速道路のパーキングエリアにこのような施設があれば、長距離バスでのツアーも需要が高まるはずです。
ムスリム旅行者も他の旅行者と同様に、観光スポットを訪れたり、ショッピングに時間を費やすことは大好きです。しかし、旅行先にハラルフードはあるのか、礼拝所は設置されているのかということを気にしており、このようなムスリムへの対応がしっかりとしている国ほど旅行先として選択される可能性が高まるのです。
シンガポールのユニバーサルスタジオはテーマパークでありながら、ハラル認証をもつレストランをがあるだけでなく、2つの礼拝所を備えています。東京ディズニーランドもこのような対応があれば、ムスリムの旅行先の対象となるでしょう。
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