2013.11.06
中国【中国】陳弁護士の法律事件簿⑩「高額景品贈呈による販促行為は違法であるか?」- 【中国】陳弁護士の法律事件簿⑩
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カーナビメーカーであるA社は販促を進めるために「製品推薦会」を開き、各地の自動車用品販売店を招待した。A社は推薦会で来場者に対し、以下を通知した。
「A社と契約を締結した場合、売上高によって代理店又は専売店として認定する。認定された代理店に対しては1台の軽ワゴン車(31,500元)を、また専売店に対しては1台の電動自転車(2,000元)を贈呈する」
その後、A社は3社の代理店、3社の専売店を認定し、それぞれの店に軽ワゴン車、電動自転車を贈呈し、景品総額は10万元以上となった。
しかし、A社による景品贈呈は賄賂行為と看做され、工商部門より罰金5万元の行政処分を受けた。
A社は、自社の行為は販促の範囲であり、景品は販売量が多い販売店を奨励するためのもので、全ての費用について記帳、納税しているとし、違法行為はないと主張した。
『分析』
市場取引において、経営者が取引対象者を誘引し、景品として現金又は物品を提供する行為は、『反不正競争法』における“経営者が製品又はサービス自体の品質や価格の優位性をもって公平に取り引きすることを奨励する”という立法の出発点に反している。
このため、『商業賄賂行為禁止に関する暫定規定(国家工商行政管理局)』第8条では、「経営者は商品取引において取引対象者となる企業又は個人に対して、現金又は物品を贈呈してはならない。ただし、商業慣例に従い少額の広告景品を贈呈する場合は除外する。前項の規定に違反した場合は、商業賄賂行為と看做す。」と明確に規定されている(なお、『少額』についての具体的な金額の規定はなく、各地方の経済水準等に基づき客観的な立場から判断される。また、広告用の景品と示すためには景品に企業名を印刷した方がよい)。
本件において、A社が販売店に対し、売上高が一定の金額に達した場合に高額の軽ワゴン車や電動自転車を贈呈する行為は、公平競争の原則に背き、競争相手等の関係者の合法的な権益を損ない、市場の競争秩序を乱す行為となる。よって、賄賂行為と看做され違法となる。
なお、『懸賞付販売活動における不正競争行為の禁止に関する若干の規定』において、経営者が商品を販売する又はサービスを提供する際に、購入者(消費者)に物品、金銭又はその他の経済的な利益を提供する行為は肯定されている。

- 【掲載元情報】
- GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
- [略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員





