国別情報一覧

HOME > 国別情報一覧 > タイ > 詳細

国別情報一覧

2023.09.01

タイタイ【タイ】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第94回「取引競争委員会におけるリニエンシー制度の法制化の検討」
【タイ】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第94回「取引競争委員会におけるリニエンシー制度の法制化の検討」
◇タイ

タイにおいては、1999年に取引競争法が施行されたものの、長らくその運用・執行は活発に行われてきませんでした。しかしながら、ASEAN諸国全体の流れとして取引競争法の実質的な施行へ向けた動きが生じ、それに応じタイにおいても2017年に新たな取引競争法が施行され、近年は取引競争法の実質的な執行がなされるようになっています。

この潮流の中で、取引競争委員会事務局は、2023年6月19日、同委員会の内部的な取組についてオンラインセッションを開催しました。このセッションでは、カルテル等の反競争行為がタイ市場経済にもたらす悪影響を踏まえ、全面的に取り締まる姿勢であることを改めて確認したうえで、現在の取引競争法においては明確な規定のないリニエンシー制度(行為者の自主申告による課徴金減免制度)の導入に向け検討を進めている旨を明らかにしました。

取引競争委員会は近時、学会、シンクタンク、民間実務者と、特にリニエンシー制度の導入に焦点を当てて、取引競争法の改善に向け緊密に連携しており、今回の動向はこのような近時の流れにも合致するものです。また、今回のセッションで、取引競争委員会が他のASEAN諸国の競争当局とも協議を進めていることが明らかにされたことから、今後国際的なリニエンシーの枠組み(一の競争当局に申請することで、複数の法域における保護やリニエンシーが得られる仕組み)が確立される可能性もあり、注目が集まります。

なお、タイの取引競争法実務においては、これまでも、法律における明文規定はないものの、反競争行為の申告者に対し、リニエンシーに類する措置をとった例があるようですが、今般の取引競争委員会によるリニエンシー制度への言及は、今後同制度に関する明確な法的枠組みを整理・構築していく態度の表明と考えられます。

以上のとおり、今後はタイの取引競争法実務においては、ASEAN諸国と足並みをそろえつつ、リニエンシー制度の導入を含むさらなる取引競争法の制度の進展・執行の活発化が見込まれ、タイにおいて事業を展開する民間事業者においても、改めて取引競争法の重要性を確認する必要があるものと思われます。

 
本記事掲載URL
20230821-024913.pdf (mhmjapan.com)


(直近記事)
第91回【ベトナム】「個人情報保護に関する政令の公布」
第92回【タイ】タイの電気自動車(EV)推進に向けた政策の最新情報」
第93回【タイ】外国会社の株主名簿等の登録義務の一部免除
【掲載元情報】
森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ  制作

前のページへ戻る

  • セミナー&商談会のご案内
  • アジアUPDATE
  • 国別情報一覧

PAGETOP