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2023.06.23

タイタイ【タイ】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第92回「タイの電気自動車(EV)推進に向けた政策の最新情報」
【タイ】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第92回「タイの電気自動車(EV)推進に向けた政策の最新情報」
◇タイ: タイの電気自動車(EV)推進に向けた政策の最新情報

タイは、2020年に国家電気自動車政策委員会(NEVPC)を発足させ、2030年までに国内の自動車生産台数の少なくとも30%を電気自動車(「EV」)とする目標を掲げており、その後も、補助金、輸入関税の引き下げや税金の緩和等の方法により、EV推進に向けた取り組みを着実に進めています。
以下では、タイにおける近時のEV推進に向けた政策の概要を説明します。
 
(1) タイ投資委員会(「BOI」)の主要戦略
 
BOIは、引き続き、①EV生産拠点の拡大(既存メーカーのEVシフト支援と新規投資家の促進を含む。)、②EV部品とバッテリーの現地サプライチェーンの強化、③EVエコシステム(充電ステーション、高度技能労働者、研究開発センター、法律・規制等)の促進という3つの主要戦略に基づき、EV分野の投資家の誘致と支援を行っています。BOIによる投資奨励により、日系企業を含む各企業は、外国人事業法(Foreign Business Operations Act, B.E.2542 (1999))による外資規制の解除、土地保有の許可、法人税の一定期間の免税等の一定の恩恵が認められます。
 
(2) EV部品の輸入関税の免除に関する財務省の告示
 
財務省は、2023年5月25日付けで、バッテリー電気自動車(「BEV」)等の部品に対する輸入関税の免除に関する告示を公表しました。この免除措置は、2023年5月26日から2025年12月31日まで適用されます。
輸入関税の免除を受けるためには、BEV等の部品について、以下の基準を満たす必要があります。
 
(a) タイ自動車研究所(Thailand Automotive Institute)による認証を受けていること。
(b) 輸入日から1年以内にBEV等の生産に組み立てられるか利用されること。
 
(3) EV補助金に関する法人税の免税措置
 
タイでは、EVの現地組み立て(Completely knocked down)、及びEVの完成車(Completely built up)の輸入の双方を奨励するために、補助金政策が実施されています。
これに関連して、歳入局(the Revenue Department)は、補助金を受け取った事業年度について、当該補助金に対する法人税の支払いを免除する勅令案を提案しました。現在、物品税局(the Excise Department)が、この免税措置の草案を起草しています。
 
(4) 国家電気自動車政策委員会のインセンティブパッケージ
 
国家電気自動車政策委員会(NEVPC)は、EV用バッテリーの価格を引き下げ、国内のEV製造産業を後押しするため、バッテリーメーカーに対して、以下のようなインセンティブパッケージを付与することを提案しています。

●EV用バッテリーに対する物品税の8%から1%への引き下げ
●EV用バッテリーの国内生産に対する補助金の交付
 
これらのインセンティブパッケージの実施には、内閣による承認が必要であり、選挙後に成立する新内閣の承認が待たれています。
 
タイは、良好なインフラとビジネス環境、そしてBOIの支援により、EVの製造と輸出の世界的なハブになることが期待されています。EV推進に向けた具体的な政策もますます充実してきており、今後も、タイにおけるEV推進に関する政策の動向について注視していく必要があります。

本記事掲載URL
20230620-011616.pdf (mhmjapan.com)

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【掲載元情報】
森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ  制作

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