2023.04.06
- その他のアジア【ミャンマー】弁護士法人One Asia/第10回「ミャンマーにおける預金残高証明書認証の実務」
- 【ミャンマー】弁護士法人One Asia/第10回「ミャンマーにおける預金残高証明書認証の実務」
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1.はじめに
ミャンマー人が日本へ留学などで在留資格認定証明書を交付申請する際に、留学生が日本滞在中に発生する費用を負担する能力があるということを証明する書類(在留中の経費支弁能力を証する書類)が求められる場合があります。
経費支弁能力を証する書類として、経費支弁者の預金残高証明書を提出することが、一般的に行われています。
もっとも、一時的な見せ金として口座に預金を預け入れた残高証明書や偽造された残高証明書かどうか判断することは困難です。そのような理由からか日本国内の地方出入国在留管理局から「銀行残高証明書に信ぴょう性があるとは認められない」、「在留中の経費を安定・継続して支弁する能力(資産形成過程当)を十分に立証したとは認められません」などの理由で、在留資格認定証明書不交付と判断されることが散見されます。
不交付の際に、どのような観点から申請書類を確認したかなどの詳細な理由は開示されないため、真正に発行された預金残高証明書であることをどのように疎明すればいいかが問題となっています。
2.預金残高証明書認証について
ミャンマーでは、公証人の資格を有する弁護士などが公証業務を行っています。弊所では、ミャンマー当地の銀行が経費支弁者に対して発行した預金残高証明書が真正に発行されたかどうかの確認を公証人に依頼しました。その際、公証人が個人の経験に基づき、預金残高証明書が銀行から真正に発行されたことを確認の上、預金残高証明書原本に公証人の印章と署名の上、真正に発行されたことが認証された事例がありました。
公証人という専門性の高い第三者が、「銀行残高証明書が真正に発行されたものである」と認証し、在留中の経費支弁能力を証する書類の証拠能力・証明力を高めることにより、在留資格認定証明書交付の判断に影響を与える手段の一つとなりえると考えられます。
3.まとめ
前述の通り、不交付の際に、どのような観点から申請書類を確認したかなどの詳細な理由は開示されないため、確実な方法であるとは言い切れませんが、公証人という専門性の高い第三者が銀行残高証明書は真正に発行されたものであると認証することにより、在留中の経費支弁能力を証する書類の証拠能力・証明力を高める有力な手段であると思料されます。以上〈注記〉本資料に関し、以下の点ご了承ください。
・ 本資料は2023年3月6日時点の情報に基づき作成しています。
・ 今後の政府発表や解釈の明確化、実務上の運用の変更に伴い、本資料は変更となる可能性がございます。
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本ニュースレター(2023年3月06日号)
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〇第7回 【ラオス】「ラオスにおける両替業について」
〇第8回 【フィリピン】「個人情報処理システム、DPOの登録義務等」
〇第9回 【マレーシア】「マレーシアにおける仲裁 - アジア国際仲裁センター(AIAC)-」
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