アジアUPDATE

HOME > アジアUPDATE

アジアUPDATE

2020.11.02

【カンボジア】弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ/《カンボジア編》第3回「事業拠点の設置」 NEW
【カンボジア】第3回「事業拠点の設置」
◇「弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ」は、弁護士法人マーキュリー・ジェネラル様からのアジア各国の国別情報を進出~撤退までの“シリーズ”で皆様にお届けします。

《カンボジア編》 第3回「事業拠点の設置」
 
外国資本がカンボジアに新たに事業組織を組成する場合の主な形態としては、①現地法人、②パートナーシップ、③外国会社の支店、④駐在員事務所の形態が考えられますが、実務上用いられることが多いのは、投資法上の適格投資プロジェクトの利用が可能な①現地法人の一形態である非公開(私的)有限責任会社(以下「非公開会社」といいます。)が用いられる場合が多いように思われます。以下では、主として、2005年に制定された会社法(2005年6月19日、法第 NS/RKM/0605/019号。以下「会社法」といいます。)に基づき、非公開会社の特徴とその設立手続の概要を紹介します。

カンボジアにおける拠点設置の特徴的な点は、現地で予定事業について投資法上の適格投資プロジェクトの申請を行うか否かにより、会社設立の手続・申請機関が異なる点です。本稿では、適格投資プロジェクトの申請を行わない、経済特区(SEZ)以外の一般的な地域に非公開会社を設立する場面を念頭において記載しています。

カンボジアにおいては、法令の内容とその実務上の運用に乖離がある場合が少なくなく、所轄官庁への申請内容の説明や担当官による法令の解釈の違い等を原因として、法定期間や想定スケジュールを上回る遅延が生ずる場合が散見されます。スケジュールを作成する際には、相当の余裕を持たせておいた方が良いように思われます。
 
1. 非公開会社の特徴
非公開会社とは、株主の責任が各自の株式の払込金額の範囲に限定される会社のうち、株主数が1名以上30名以下で、株式・社債その他証券の 公募が禁止された会社をいいます。会社の株式・社債その他の証券の公募が可能な公開有限責任会社とは異なって、株式 その他の証券を割り当てることができる相手方が株主 ・会社役員等に限られる点が、非公開会社の主な特徴の1つです。
 
2. 非公開会社の設立手続
カンボジアにおいて非公開会社を設立する場合、商業省(Ministry of Commerce:MOC)に対して申請を行い、会社の商号登記を行う必要があります。
非公開会社の設立及び事業開始に必要となる手続の一般的な流れは以下のとおりです。

(1) 会社の必要事項の確定
設立に際して確定しておくべき必要事項には以下が含まれます。

(a) 機関構成
非公開会社の場合、最低で株主1名、取締役1名を有することが必要です。取締役は、自然人である必要がありますが、カンボジアでの居住要件・国籍要件は会社法上存在していませんが、定款上定めを設けることは可能です。監査役については、会社の証券を一般に公開していない非公開会社については、監査役を選任しないことを決議することができます。

(b) 資本金
会社法上、会社は、額面額4,000リエル以上の株式を、最低1,000株発行する必要があることから、最低資本金の額は、400万リエル(約101,000円)となります。

(c) 会社名(商号)
非公開会社の商号には、その末尾に非公開会社であることを示す文言が含まれている必要があります。
また、以下の商号については、申請が却下される可能性があるため、注意が必要です。

・他の会社の商号と類似した紛らわしい商号
・公序良俗に反する商号
・低俗な商号
・その他不適切な商号

(d) 会社の事業活動

(e) 会社所在地
 
(2) 商号の予約
予定している会社の商号を確保するためには、商業省に対して申請を行うことが必要です。予約する商号は、クメール語及び英語で記載されており、その末尾に非公開会社であることを示す文字又はその略号が付されている必要があります。
申請した商号の予約の承認・不承認の判断は、多くの場合、申請から約3~5営業日で通知されます。予約された商号は、承認された日から3ヶ月間有効であり、さらに3ヶ月間延長することが可能です。
なお、かかる商号の予約申請、及び、その後の申請書類の提出は、2016年以降、オンラインで手続を進めることが義務付けられました。

(3) 会社登記申請書類の提出
商業省に対して行う会社登記申請の際に必要となる情報には、以下が含まれます。

・事業目的
・会社の商号
・株式に関する情報(券面額、株式数、異なる種類の株式の有無等)
・会社所在地に関する情報(事務所所在地、登録所在地、電話番号等)
・取締役に関する情報(氏名・住所・国籍等)
・株主に関する情報(氏名、住所等)
 
会社登記申請の必要書類には、以下が含まれます。

・定款
・株主及び取締役のパスポート又はIDの写し及び写真
・カンボジアの銀行が発行する資本金額に関する残高証明書
・会社所在地を証する書面
・取締役の宣誓書
 
申請書類一式が商業省の担当官に受領された後、会社登記の申請が承認されるまでに、通常10日~1ヶ月程度の期間がかかっていますが、申請の時期や書類の不備等が原因となり、より多くの日数を要する場合があるため、注意を要します。
 
(4) 設立証明書の発行
会社登記申請が承認された場合、商業省から商業登記証明書が発行されます。会社は、登記がされた日から法人格を取得します。
 
(5) 税務登録
上記のとおり設立関連書類に商業省の認証を得て登記が完了してから15 営業日以内に、経済財務省の税務総局(General Department of Tax)における、税務登録の申請を開始する必要があります。
税務登録は、所定の財務登録申請書を記入し、添付書類を準備して、これらを税務総局に提出する方法で行いますが、オンラインでも登録申請を行うこともできます。ただし、近時の税務登録の制度の改正により、取締役会の議長又は会社のオーナーが、税務総局において顔写真を撮影し、指紋の登録をする手続が加わりましたので、一度は税務総局を訪れる必要があります。

新規登録の際に支払う必要がある費用は、登録費40万リエル、印紙税100万リエル及びパテント税になります。パテント税の額は、事業目的及び会社の規模に応じて40万リエルから500万リエルと定められています。

税務登録が完了するまでの期間は、上記の写真撮影及び指紋登録が完了し、必要書類が全て提出された後7日~10日と定められています。しかし、実際には、付加価値税に係る証明書については必要書類の提出から通常1 ヵ月程度、登録税に係る証明書についてはさらに2 ヵ月程度を要する場合がありますので、期間については留意が必要です。
 
(6) 労働職業訓練省への申告
カンボジアの労働法が適用される全ての事業者は、労働職業訓練省に対し、事業所を開設した旨の申告を行う必要があります。
また、かかる申告の際に、以下の登録を合わせて行う必要があります。

■会社台帳登録
■従業員登録
■従業員給与台帳登録

加えて、8人以上の従業員を雇用する場合には、就業規則を作成し、事業開始から3 ヵ月以内に届出をする必要があります。

以上
 
※本稿の著作権は、弁護士法人マーキュリー・ジェネラルに帰属しています。
 
第4回に続きます。 

【関連記事】
《カンボジア編》第1回「外資投資規制」
《カンボジア編》第2回「投資優遇制度」
【掲載元情報】
弁護士法人マーキュリー・ジェネラル  作成

前のページへ戻る

  • セミナー&商談会のご案内
  • アジアUPDATE
  • 国別情報一覧

PAGETOP