2015.08.27
中国【中国】陳弁護士の法律事件簿⑲「中国で代表所が立ち退きを迫られた時」- 【中国】陳弁護士の法律事件簿⑲
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「中国で代表所が立ち退きを迫られた時」
「きちんと登記をしているのに、駐在員事務所(代表所)の立ち退きを迫られた」
中国においてはこのような事例がよくあります。仕方がないと泣き寝入りしてしまうケースも多々見受けられますが、対抗するにはどうすればいいのでしょうか?
イギリスに本部を置くA社は、市場調査や業務連絡の便宜上、2012年に深センで代表所を設立しました(以下「A代表所」)。そして、 A代表所は法律に従って、工商、税務などの登記手続きをきちんと行っていました。
しかし、2年後の2014年の10月、A代表所は貸主から「すぐに退居せよ」と一方的な通知を受け取ります。 これは明らかに契約違反だと考えたA代表所は、裁判所に訴えを起こします。
「契約違反だけど、代表所は法人じゃないからダメ?」
当然勝てると思っていた裁判で、A代表所は想定外な判決を受けます。 貸主側は、代表所は法人に該当しないため、訴訟当事者としての資格がないと主張。それに対してA代表所は、自所は法規に則り登記手続きを行っており、権益が侵害された場合には訴訟をする権利があると主張しました。
最終的に裁判所はA代表所の請求を棄却しました。
『分析』
代表所は本当に訴訟を起こす資格が無いのでしょうか?それならば一体どのような組織または団体ならば訴えを起こすことができるのでしょうか?
中国の『民事訴訟法』では、中国の裁判所は公民、法人、その他の組織であれば、民事訴訟の当事者になれるとあります。 ではA代表所の様な、外資系の駐在員事務所の場合はどうなのでしょう?
結論から言うと、外国企業が中国国内で設立した代表所は法人格を持たないことが規定されています。 この点を踏まえると、さきほどの裁判所の判断は妥当と言わざるおえません。
しかし、「公民、法人、その他の組織であれば、民事訴訟の当事者になれる」とあり、 代表所は「その他の組織」に当てはまるかもしれません。
『最高人民法院による<中華人民共和国民事訴訟法>の適用に関する解釈』には 「その他の組織とは、合法的に成立し、一定の組織機構と財産を有しているが、法人格を備えていない組織を指す」とあります。 これならA代表所も当てはまりそうですが、残念なことに、代表所が「その他の組織」に該当するかどうかについては、明確な規定がないのが実情です。
最後に、最高人民法院による「外国企業の代表所が、本社の代表として民事責任を負うことは可能か」という判断について確認してみましょう。
規定によると、外国企業の代表所は、あくまでも代表機構であり、代表所の中国国内での業務活動については、代表する外国企業が法的責任を負うべきである。つまり本社が法的責任を負わされており、代表所は独立した訴訟当事者として訴訟に関与できないことになります。
中国の法規を詳しく調べてみても「A代表所の様な外国企業の代表所は訴訟を起こせない」ということがわかりました。
『弁護士の見解』
結局のところ今回の様なケースでは、代表所は独立した訴訟当事者として訴訟に関与することができないため、外資系代表所を管理する本国の親企業が訴訟当事者として訴訟を提起する必要があるようです。
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- 【掲載元情報】
- GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
- [略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員





