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2014.09.26

中国中国【中国】中国通信/第8回『中国人幹部社員との労務トラブル』 ②
【中国】中国通信/第8回
今回は、前回の『中国人幹部社員との労務トラブル』①に続き、幹部社員の解雇についてお伝えします。

3.幹部社員を解雇するには

労務トラブルが起きた場合、通常は弁護士を通じて労働仲裁、訴訟で解決します。
会社側はその幹部社員が起こしてきた、数々の問題を指摘し解雇の正当性を主張するのですが、幹部社員は会社に命令されてやってきたことだと反論して、大抵の場合は平行線をたどります。

仲裁委員会や裁判所も、あまりのこの種のトラブルの多さに、丁寧な審理をすることもなく、中間線で妥協したらどうかという、調停を進めてくることも多いようです。
結局は、退職の経済補償金の金額がいくらかということで解決がはかられるケースが大半です。
最後は経済補償金の額の多少で決着ということならば、正当性の主張にエネルギーを費やすのではなく、最初から経済補償金の額に争点を絞り込み、トラブルが続いている間は当該社員を缶詰勤務にして係争を続けるのも手です。

しかし、このような手も多くの場合、現実的ではありません。
問題幹部社員の味方が社内にいるからです。その問題社員は、味方の情報網を使えば、現地の日本人社員よりも多くの会社の内部情報を、やすやすと入手できるのです。
そして、会社にとって不利な情報をネタに会社を脅して要求額をつりあげてくるのです。
ある会社は、原材料の端材の売却で得た代金を、借入という名目で預金にプールしていることを税務署に暴露するぞと脅されました。
ある会社には、缶詰勤務中に妊娠して、会社が解雇できないようにするぞと居直った女性幹部社員がいました。

弁護士を利用せず、日本人社員が徹底的に問題社員と議論をすることで対応している会社もあります。
何時間でも何日でも同じ話題について、相手と指摘と反論を繰り返すのです。
日本人の特徴として持久戦に弱く、すぐに専門家に依頼するという傾向がありますが、この会社は違います。
この会社は、このような問題は幹部社員一人だけでなく会社の中枢にまで根を下ろしていると考え、自らその状況を把握し解決する必要があると考えました。
会社からは、相手の非をあげつらってとがめることなく、淡々と問題を指摘して、問題が起こった経緯を会社立上げ当初に遡って説明させたり、幹部社員の会社に対する些細な不満でも長々と話しをさせたりしながら、幹部社員が疲れてくるのを待つのです。

すると、実は自己中心的に見えた問題社員の行動も会社によかれと思って行った面が少しはあったということも判明するはずです。
社内の人間関係もわかります。
人間は疲労がたまってくると理性よりも感情が優先になるようです。時として、そのような相手に理解を示せば、最後は、お互いに気分よく別れるための落としどころを探しだすようになるものです。
結果的には、その方が時間的にも短時間で済むことが少なくなりません。
その会社では、補償金額も大体は要求の50%以内でおさまるとのことです。円満な解雇を実現するために、耐えて聞く力(=話をさせる力)は専門的な知識よりも有効な武器になるようです。

このケースの勝因は、現地の日本人社員が、状況を的確に判断し粘り強く対話を続けたことだけではありません。
日本の親会社の経営陣も、そのような状況を理解し、粘り強く結果を待ち続けたからこそ、現地の日本人社員が適切な対応を選択出来たといえます。
他の多くのケースでは、日本の親会社からの、現地に対する無理解な指示が、適切な対応を阻害しています。
筆者は、中国でも東南アジアでも、自らの目と耳と足で現地の現実を理解しようとすることがグローバル化の第一歩と考えます。
以上

※ 中国通信の過去記事は 「国別情報一覧(中国)」 よりご確認ください。
【掲載元情報】
山田ビジネスコンサルティング株式会社 中国事業部 部長 宮田 顕
[略歴]
□2008年3月~ <山田ビジネスコンサルティング㈱>

□2005年4月~2008年  <大手電子メーカー 中国現地法人 総務部長>
総務部長として、約4,000人の工場の総務・人事・当局交渉・US-SOX法対応等に従事。
合計17年に及びアジア・中国の海外拠点、現地法人に勤務。

□1977年~2005年 <大手都市銀行にて国際業務に従事>
シンガポールにて貸出、資金・為替・デリバティブ等取引、主計企画業務に従事。
上海駐在員事務所長、北京日中合弁リース(銀行と中国対外経済貿易合作部との合弁企業)副社長として中国駐在。
中国進出日系企業支援、同行上海支店開設や中国系企業とのリース取引に従事。

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