2014.09.18
中国【中国】陳弁護士の法律事件簿⑮「董事会による高級管理職の解任は合法であるか?」- 【中国】陳弁護士の法律事件簿⑮
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董事会による高級管理職の解任は合法であるか?
Aさん(男性)、Bさん(女性)はそれぞれ甲社の総経理、財務総監であり、Aさんは甲社の董事も兼務している(甲社には合計3名の董事がいる)。
某日、甲社は董事会を召集し、「AさんとBさんは、董事会の授権を得ずに新事業を展開し、会社の利益を損ねたとし、総経理および財務総監の職務を解く」ことが、決定された。
Aさんは解任に反対。理由として、「新たな事業展開は董事会が黙認しており、損失も発生していない」と主張。そして、董事会決議に署名することを拒否した。
しかし、Aさんの主張は受け入れられず、甲社は新たな総経理と財務総監を任命した。
Aさん、Bさんは、董事会決議について根拠とした事実に誤りがあったとして、甲社を訴え、決議の取消し及び総経理、財務総監への職務復帰を請求した。
『 分析 』
一審では、董事会の召集、議決手続きにおいて会社法および会社定款上に違反はないが、「新事業の展開が会社の利益を損ねた」という董事会決議については、根拠が不十分として、当該事実に基づいた総経理、財務総監解任の決議が正当性に欠けると判断。董事会決議を取り消す判決を下した。
しかし、二審では、高級管理職の任命と解任は董事会の法定権利であるとして、董事会が手続き上、会社法と会社定款の規定に違反せず、決議内容も会社定款の規定に違反していない場合、裁判所は、解任事由について事実と合致しているか否かを審査・認定する立場にないとし、一審を覆し、Aさん、Bさんの請求を退ける判決を下した。
会社法では、総経理、財務責任者等の高級管理職の解任を董事会の決定事項の一つとして定めているだけで特別な規定を定めていない。
言い換えれば、総経理、財務総監は完全に董事会が選定、任命するものであり、董事会の手続が合法である場合、董事会はいかなる事由も必要とせず、高級管理職の職務を解くことができる。
但し、董事会が総経理等の職務、待遇に関する事項について、労働契約の内容を変更する場合は、相手の同意を得なければならず、配置転換等についても相応の事由がなければならない。
従って、労働契約の締結と高級管理職の任命は、別々に取り扱った方が望ましい。労働契約は会社が労働者と締結し、双方の合意により労働者の最低限の権利を保障するものであり、高級管理職の任命については、董事会だけに権限がある。
以 上
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- 【掲載元情報】
- GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
- [略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員





