2013.06.10
中国【中国】陳弁護士の法律事件簿⑦「会社はマスコミの取材を拒否できるか」- 陳弁護士の法律事件簿 第7回
-
2012年末、A社の製造、販売する自動車に品質問題が発生したため、自動車の使用者の高さんは賠償請求を提起した。
何度も協議したが解決できなかったので、高さんは新聞社、テレビ局の記者を引き連れ、A社の総経理に対し面会を要求し、現場の記者はビデオやカメラで撮影し始めた。
A社の担当者は阻止しようとしたが、記者は、マスコミは取材、報道の権利を有し、A社が取材を拒否してはならないとして、A社の責任者に直ちに面会するよう要求した。
『分析』
現在の社会においてマスコミの影響力はますます大きくなっている。統計によると、中国では記者証明書を受領した者はおよそ二十五、六万人おり、記者は大衆の社会生活関連の報道に携わることが多いため、企業が取材を受ける機会も増えている。
しかし、中国では記者の取材行為、取材権利の限界と制限などを系統立てて規定する「新聞法」、「世論監督法」はない。
「新聞取材活動保障工作の一層の推進に関する新聞出版総署の通知」には、新聞機構は国家利益、公共利益に関して、法により知る権利、取材権、発表権、批評権、監督権を享有すると規定されている。
また、「新聞取材編集員の合法的な取材の権利に関する新聞出版総署の通知」には、新聞取材編集員が作成する新聞報道は国家利益を損なってはならず、公民及び法人の合法的権益を侵害してはならず、新聞取材活動を利用してニュースを有償にしたり、広告を強要したり、不当利益を得てはならないと規定されている。
なお、記者の取材に関する権利の限界は取材対象、目的によって異なる。
国家利益、公衆利益について国家権利機関及びその担当者にインタビューするにあたっては、当該担当者は国家、公衆の関連情報を把握し、政策決定権と執行権を有するため、記者の取材を拒否する権利を有しない。
しかし、一般の公民又は企業に対しては、取材対象者及び取材内容が犯罪事件又は公衆利益と密接な関係のある事件である場合を除き、記者は取材対象者から許可を得ずに、取材を強行してはならず、勝手に個人が所有又は使用する場所に入って追跡、撮影などもしてはならない。
つまり、一般の公民又は企業にとっては、犯罪事件又は公衆利益と密接な関係がある事件でなければ、記者の取材要求を拒否する権利を有する。
記者が取材、事実確認を行わずに、事実に合わない報道を行うことにより、公民又は企業の名誉などが損なわれた場合、公民又は企業は記者が所属する新聞機構、及び記者に賠償責任を負わせることができる。
記者が世論の力を利用して財物を巻き上げたり、或いは競合企業の経営者などと結託して公然と企業の名誉又は商品の名声をそしり、不正競争などに該当する犯罪行為を行った場合、公民又は企業は国家の関連機関に告発することができる。

- 【掲載元情報】
- GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
- [略歴]
[略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員





