2013.05.24
中国【中国】陳弁護士の法律事件簿⑥「営業許可証取得前の名刺配布は違法であるか」- 陳弁護士の法律事件簿 第6回
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会社設立手続き中のA社は、社名登録が完了、営業許可証の取得手続き中に、社名・営業範囲など関連情報を記載した名刺を印刷し、従業員を雇い客先を訪問させた。
A社の行為をいかに評価すべきか、A社が法的責任を負うかについて、二つの異なる意見が考えられる。
一つ目の意見は、A社の行為は広告法に違反する行為であるというものである。
二つ目の意見は、A社の行為は違法行為にならないというものである。
理由はA社が名刺を印刷し配布する行為は、個人が履歴書を作成して対外的に配布する行為と類似し、法律の制限を受けないからである。
『分析』
工商行政機関は、『中華人民共和国広告法』第2条において、本法が規定する広告とは、商品販売者あるいはサービス提供者が費用を負担し、特定の形式で媒体を通して直接あるいは間接的に自己の宣伝する商品あるいは提供するサービスを紹介する商業広告を指すということが明確にされている。
本件において、自社を対外的に宣伝し、知名度や影響範囲を広めるために名刺を印刷配布するA社の行為は、広告の性質に合致すると判断される。
しかし、『中華人民共和国広告法』第4条では、「広告には虚偽の内容が含まれてはならず、詐欺や消費者を誤解させる行為はしてはならない。」と規定している。
また、同法第24条では、「広告主が独自にあるいは他人に委託して設計、製作、発表する広告は、真実性、合法性、有効性を証明する下記の書類を備え提供できなければならない」と規定している。
(一)営業許可証およびその他の生産、経営資格の証明書類
(二)品質検査検疫機構が広告中の関連商品の品質に対して示した証明書類
(三)広告内容の真実性を確認できるその他の証明書類
本件において、A社は関連の証明書類を備えずに広告を対外発表(名刺を印刷・配布する)したことは、偽りの広告宣伝行為に該当し、上述の第24条に規定されている広告発表の義務としての要件に合致しない。
また、A 社の行為は個人履歴書の作成行為とは異なる。なぜなら、個人履歴書は求職者から求人企業へ提供する簡単な紹介書類であり、商業広告の性質を有しないからである。作成者が義務として具備しなければならない条件も要求しない。
よって、個人履歴書の作成は広告の発表と同じではない。
上述のように、会社が営業許可証を取得する前に名刺を印刷し配布する行為は、偽りの広告宣伝行為となるので、名刺の配布は慎重に取り扱うべきである。

- 【掲載元情報】
- GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
- [略歴]
[略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員





