2013.04.17
中国【中国】陳弁護士の法律事件簿④「従業員が許可を得ずに病欠した場合の対応について」- 陳弁護士の法律事件簿 第4回
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王さんはある大型国営企業でソフトウェア開発の業務に従事している。王さんは脊椎病を理由に休暇を申請し、通院の都度、病院の診断書を会社に提出した。初めのうち会社は休暇を許可したが、次第に会社の業務に影響が出だした。
ある日、王さんは腰痛を理由として20日間の休暇取得を申請したが、会社は腰痛は慢性病で業務に起因するものではないと判断した上で、王さんの休暇申請に同意しなかった。しかし、王さんは会社の許可を得ずに欠勤した。20日後、王さんは出勤したが、会社は王さんの無断欠勤が累積で15日を超えたことを理由に解雇したことを述べ、解雇決定書を王さんに渡した。
そこで王さんは労働仲裁を提起し、労働契約解除を無効とすることを請求した。
『分析』
従業員が許可を得ずに病欠した場合、企業は労働契約を解除することができるか? これについて、二つの意見がある。
一つの意見は、企業は一方的に労働契約を解除することができるというものである。
王さんは企業の許可を経ずに勝手に15日を超える休暇を取り、労働規律及び雇用企業の規則制度に重大な違反をした。よって、企業は王さんを解雇、即ち労働契約を解除する権利を有する。
もう一つの意見は、企業は一方的に労働契約を解除することができないというものである。
その根拠は、『中華人民共和国労働法』第3条第1項に「労働者が平等な就職及び職業選択の権利、休憩、休暇の権利、労働安全衛生保護を受ける権利、職業技能訓練を受ける権利、社会保険及び福利を享受する権利、労働紛争処理を請求する権利、及び法律に規定されるその他の権利を有する。」と規定されていることにある。
当該条項から見れば、労働者の「休憩、休暇」の権利は法定の権利で、中国の憲法でも明確な規定が定められている。仮に社内規則において、従業員が休暇を取る場合に会社の許可を得なければならないという規定があるとしても、雇用企業はいかなる場合でも、勝手にその権利を剥奪してはならない。
本件について、労働仲裁委員会は最終的に労働契約の解除が無効であると裁決を下した。
現実において、企業は従業員が仮病を使って休んだことを発見した場合、病欠の状況について事実を確かめ、証拠を提出することが必要で、企業が主観的な判断をしてはならない。
もし病欠の状況が事実で、従業員が長期病欠で仕事ができない場合、企業は『中華人民共和国労働契約法』第40条の「(一)労働者が病を患い又は業務によらない負傷により、規定の医療期間の満了後も元の業務に従事することができず、雇用企業が別途手配した業務にも従事することができない場合」という規定に該当する際は、30 日前までに書面により労働者本人に通知するか、労働者に対し1か月の賃金を余分に支給した後、労働契約を解除することができる。

- 【掲載元情報】
- GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
- [略歴]
[略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員





